2013年12月24日火曜日

Dandelion Chocolate に行ってきた

日本でも食の安全が叫ばれていますが、アメリカでもますます「食」「安全」「健康」関連のビジネスが盛んです。自分自身の体もそうだし、自分の子供とか未来のことを考えたら食って非常に重要。パソコンを使わない人はいるかもしれないけれど、物を食べない人はいないという意味では、世界中の人がターゲット。オーガニック、地産地消、様々な切り口でサービスが生まれています。

特にチョコレートが熱いらしい。「前にコーヒー業界で起こったことが今チョコレートで起きている。大手メーカーの寡占でどのチョコレートも同じように思っていた人達が、チョコレートの違いに気づいて、学んで、楽しんで、味わうようになってきた」とのこと。

ちなみに、Google App Engine の PM をやっていた同僚が Google を退職し、何をやるのかなと思ったらチョコレートを作ると。それが今回行ってきた Dandelion Chocolate

こちらが入り口。Mission 地区の Valencia Street のどまんなかに普通にあります。周りはカフェとかレストランとか。うちからも歩いていけます :)

Dandelion Chocolate

この奥にこんな工場があるとは。。。


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ちょっと脱線:TCHO の話
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ちなみに同じサンフランシスコ産のチョコレートで現在大変有名になっていて、Google のミニキッチンにも常備されているのが TCHO。いまや Whole Foods でも売ってます。

創業者は NASA でスペースシャトルの開発をしていた Timothy Childs と元々チョコレート業界にいた Karl Bittong、そして現在の CEO の Louis Rossetto と社長の  Jane Metcalfe は Wired Magazine と Wired.com の共同創業者。超テッキーな TCHO ですが、その会社名もやはり "Technology meets CHOcolate" から来ているそうです。チョコレート業界にイノベーションを起こすぞ、カカオ生産農業従事者によりよい生産方法を教え、それをオープンソース的に他の生産者にも広めて世の中をよくするんだ。。。などなど。

記事もたくさん書かれてますね。
CNet: Artisan chocolate makers get techie - At Tcho's new high-tech chocolate factory in San Francisco, there's a taste of Silicon Valley's sensibility in every bite of the company's epicurean treats.
Economist: Chocolate.com - A start-up innovates in an unexpected field
Diablo: Louis and the Chocolate Factory - Meet Berkeley’s Louis Rossetto. First, he created Wired magazine. Now, he’s revolutionizing artisan chocolate.

TCHO は半年ぐらい前に工場見学に参加しました。こちらが外観。Embarcadero の近くの Pier 17 にあります。

TCHO

工場見学は予約が必要です。サインインしたところ。当時はチョコレートのラインアップがとてもシンプルだったのがわかります。(最近は商品がすごくたくさん増えました。)

TCHO

工場に入る前に、TCHO やチョコレート製造の工程についての説明を聞きます。パソコンでのプレゼンを受け、カカオの実も触ることができます。

TCHO

写真だとちょっと見えにくいけど、TCHO ではこの 6 つにチョコレートを分類する "Flavor Wheel" という呼び方をしていて、Chocolatey、Nutty、Earthy、Floral、Fruity、Brightと呼ばれています。(以前は Bright の代わりに Citrus を使ってたけど変えたようですね。)別にフルーツとかナッツを入れているわけではなく、消費者にチョコレートの特徴がわかりやすいようにこうした「風味」による分類をしていて、実際食べてみるとああなるほどとわかります。カカオのパーセンテージとか原産国とかで何が好みかなんてわからないので、こうした分類をしていると。



この奥が工場になっていますが、撮影禁止。大きな機械が並んだ広い工場の中を30名ぐらいの見学者がゾロゾロと歩きます。

TCHO

髪の毛が商品についてしまうのを防ぐため、こういうのをかぶります。

TCHO

興味がある方はぜひ見学に行ってみてください。市内だし!

最近は商品が増えたみたいです。



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本題に戻って: Dandelion Chocolate の話
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Dandelion の方も創業者は Plaxo の共同創業者だった Todd Masonis と Cameron Ring という tech な人達で、Plaxo が 2008 年に Comcast に買収された後、チョコレート工場を始めました。

TCHO に行った時も「我々は小さなチョコレート工場だから」と耳タコな程聞きましたが、Dandelion は比較にならない程小さい。しかも全てがオープン。一番わかりやすいのがこの動画。



彼らも色々なところで記事になっています。

SF Gate: Dandelion Chocolate raises the bar

"Making chocolate, it turns out, isn't that much different from developing software. After selling Plaxo, Masonis, 32, and Ring, 33, had some time on their hands, so they started experimenting with producing a batch of chocolate."
"Masonis and Ring have approached making chocolate the same way they have tackled developing new technology: designing and experimenting with different parts of the chocolate-making process, running blind taste tests and analyzing the results. "We took a very engineering, data-driven approach," Ring said. "For me, (making chocolate and making software) doesn't seem that different. The tools you end up working with are a little bit different, so rather than spending time typing, you use a wrench and screwdriver. But the methodology is very similar.""

「チョコレートを作るのは、ソフトウェアを書くのとあまり変わらない」。お料理って理科の実験に似てるよねっていうあれと同じ原理なのかな。「チョコレート製造の工程を分けて、実験してみて、ブラインドテストをして、結果を分析する。データドリブンなんだ。」と。
"We were just having fun making chocolate," Ring said. "And then we started making chocolate that people seemed to like, and we really fell in love with the act of making chocolate. There's a lot of innovation happening in this industry."
チョコレートで世の中をよくするとか世界を変えるみたいな気負いは一切なく、楽しんでる。Dandelion Chocolate に行っても、なんかみんな楽しそうなのがわかる。手作りしてみて、美味しいのができて、みんなに喜ばれちゃったからもっとたくさんの人に楽しんでもらえるように量産していくっていう素朴な感じ。

入り口から入ると、手前はカフェ&販売スペースになっていて、カウンターがあって、その奥は全部工場。工場っていうか製作現場。お客さんの空間と製造の空間が完全につながっている。

Dandelion Chocolate

商品棚。クリスマスシーズンですねえ。

Dandelion Chocolate

ツアーが始まるときに、写真撮影してもいいか聞いてみたら「全然いいよ!僕ら秘密ないから!」と実にオープン。

製造方法も壁に貼ってある。っていうか、見学してみて初めてわかるのですが実はほぼ全ての工程がお客さんの目の前で行われているっていう。

Dandelion Chocolate

壁には大きな黒板があって、そこにも様々な情報が描かれてます。

Dandelion Chocolate

Dandelion Chocolate

TCHO の時と同様、髪の毛のカバーをかぶっていざ見学。こちらは定員5名。来る前はなんでそんなに少ないのかなと思ってたけど、体験してみるとめっちゃ狭いので実は4人でも多いくらい。(一人欠席でした)

まずは製造工程唯一の「別室」へ。ここでカカオ豆の選定を行います。ゴミを取り払い、サイズをチェックして、品質のよい物だけを使います。全部手作業。なぜ別室かというと、カカオの実は海外から届いているので衛生のため。ときどき cacao moth と呼ばれる虫がいたりするらしい。また、豆が発芽してしまわないよう、この部屋だけ温度が低く設定されています。

Dandelion Chocolate

届いたカカオはこの麻袋の中に。発酵・乾燥させてから輸送されます。

Dandelion Chocolate

カカオの実。

Dandelion Chocolate

この中にカカオの豆が入っています。

Dandelion Chocolate

選定されたカカオ豆は、次にローストされます。これがその機械。

Dandelion Chocolate

カカオ豆によって、ローストする温度と時間を変えています。早見表が貼ってありました。このへんが data driven で experimental な結果なのかな?

Dandelion Chocolate

次に、殻を砕きます。で、ツアーの様子はこの頃からだいぶおかしくなってきますw というのが、私以外の人達は自宅で自分でチョコレートを作っている人達のようで、「俺はこの殻を取る工程は自分で手でやってるんだよ。大変なんだよ。」などの発言が。みんなの会話がディープすぎる。

Dandelion Chocolate

よりわけ。

Dandelion Chocolate

殻を吹き飛ばして中身と分けます。この機械は、掃除機などを改造して自作したそうです。チョコレート業界の大きな会社が使う機械と家用みたいな小さいのはあるものの、Dandelion のような業務用だけど小規模な工場を想定した機械がないらしく、作ってしまったと。Maker だなあ!

ほかの人達も興味津々。「自作ってなに、どの部分が掃除機?どういう構造になってんのこれ。ゴミはどこから排出してるの?殻だけじゃなくて茎みたいな紐みたいなのあるでしょ、あれはどうやって取ってるの?」。。。質問のレベルがどんどんディープになっていく。。。

Dandelion Chocolate

こちらは撹拌の機械。ぐいんぐいん回っています。3日ぐらい撹拌するらしい。輪が見えるのは石で、横に2つと底に一つあります。鍋を触ってみると温かい。温めているのではなく、摩擦熱なんだそうです。ちなみに砂糖はこの時点で加えられます。

Dandelion Chocolate

Dandelion Chocolate

Dandelion Chocolate

この撹拌状態のチョコレートを、産地の違い、撹拌を始めてからの時期をずらした物を試させてくださいました。おいしい!物によって酸味とか味が違う!

Dandelion Chocolate

で、このチョコレートを固めます。

Dandelion Chocolate

が、そのままだと白い部分ができてしまったり、棚置きした時に溶けやすくなってしまったり、光沢がなかったりします。

Dandelion Chocolate

そこで行うのがテンパリング。温度調整を行い、なめらかで美味しく、棚置きしても溶けにくいチョコレートに仕上げていきます。テンパリングって大事だなあ。

Dandelion Chocolate

チョコレートの形に成形し、一つ一つ手で包装していきます。「手で包装??」とびっくりしますが、これだけ全ての工程を手作りで作っているチョコレートを、包装だけ機械でやろうとしてもうまくいかない。なので、手で包装。

Dandelion Chocolate

ところで工場の中でひときわ目立つこの真っ赤な機械。

Dandelion Chocolate

何かというと、超アナログで古い包装機械。サイズも臨機応変に変更できるので、手作りチョコレートも包装できる。しかも。。。手回し。。。だが、そこがいい。Dandelion Chocolate らしいw (そして手作りチョコレート軍団なみんなは「これどこのメーカー?どこで入手したの?」とこれまた興味津々。) 

Dandelion Chocolate

最後に、「チョコレートの果実」のスムージーを試飲させて頂きました。南米・アフリカではよく飲まれている物なのだそうですが、それ以外の地域ではあまり見られない。「チョコレートの果実のスムージーを提供しているのは、多分北米でウチだけかも」とのこと。「チョコレートの果実のスムージー」だけで一本記事になってました。

SF Weekly: Dandelion Chocolate Smoothies Contain Real Cacao Fruit

普通の見学ツアーだとここから試食で更に販売につなげるものだと思うのですが、「チョコレートの試食はカフェでできるからね。じゃ、僕仕事に戻るねー。」で終了。なんという商売っけのなさ(笑)

試食コーナーではカカオ豆も試食できます。

Dandelion Chocolate

。。。とここまで書いて、Dandelion Chocolate の製造過程の動画を発見。




ツアーに参加したい場合は必ず予約が必要なので、こちらから。

なお、Dandelion Chocolate では、チョコレートについて一から学べる2時間コース「Chocolate 101」、お気に入りのカカオ豆を選んで自分のチョコレートを作れる3時間半の「Chocolate 201」、カカオ豆の産地を旅する「Chocolate 301」のコースなどもやっているそうです。

Chocolate 301 についてのブログ記事:Chocolate Trips

産地へは社員の皆さんも行っているそうで、ブログ記事もいくつかあがっています。
Venezuela 4 of 4: Mantuano, Trincheras, Patanemo, and Canoabo

知らなかったのですが、2012 年2013 年の Good Foods Award のチョコレート部門で入賞してたみたいですね。

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本日のチョコレート
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既にだいたい想像がついていると思いますが、私はチョコレートが大好きなので、今日もまたチョコレートをもぐもぐしているのですが、本日のチョコレートはこちら。

Lula's Sea Salt Caramel

一粒一粒にそれぞれ違う産地の塩がまぶされています。今日はハワイの Alaea のシーソルトがのったチョコレートを頂きました。ほかにもキプロスの塩とかヒマラヤの塩とか色々あります。おいしー(><)

San Francisco

Disclaimer このブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。