2013年6月26日水曜日

復興ハングアウトと只見町とオープンガバメントについて

このブログでも何度か紹介してきた「復興ハングアウト」ですが、先週「復興ハングアウト2013 コミュニティの再生」を放映しました。

=== 6/21 大槌・柏崎との復興ハングアウト===

アーカイブ動画は下記からご覧頂くことができます。



Google+ イベントページ: http://goo.gl/MtZ14

今回は、岩手県大槌町と新潟県柏崎市、そして東京のスタジオをつなぎました。

東京のスタジオには、衆議院議員の長島忠義さんにいらして頂きました。長島さんは、中越地震の際、新潟県山古志村村長として全村避難を決断。「リーダーは、希望を与え続ける存在になること」と仰り、正にそのリーダーとして村民の先頭に立ち、復興の加速に尽力してきた方です。現在は復興大臣政務官・農林水産大臣政務官・衆議院議員に就任されています。

その長島さんは震災初期の 3 月 21 日に大槌に足を運んで以来、十数回訪問して炊き出しなどを行なってこられました。そんな中出会った大槌の高校生達は、自分たち高校生が地域でできることは何かを考え、自分で課題を見つけ、実践していく、「マイプロジェクト活動」を行なっていました。そんな姿に打たれて、長島さんはその高校生たちを自民党青年局の TEAM-11 に紹介し、この復興ハングアウトにもご出演頂くことになりました。

そして、柏崎。福島県から多くの避難者を受け入れて来た町です。震災から3年目を迎えた福島ですが、今もおよそ 5 万 7000 人が県外で避難生活を送っています。福島に帰りたいけどいまだに帰れない人。避難先での生活が日常になり、ふるさとに戻りたい気持ちもあるけれど新しい地で次の生活を考えている人。色々な考え方があります。「戻るのが正しいとか、新しい土地で生きていくのが正しいなんていう答えはない。どっちもあっていい」と長島さんは話しておられました。そんな柏崎に福島県双葉町から避難してきている渡辺浩二さんが出演してくださいました。

「子供たちのためには、被災地が直るまで見せない方がいいと思っていた。でも、実際は実情を隠すことで、子供たちの元気がなくなっていってしまった。」と長島さんは語ります。そこで、子供たちに被災地を見てもらって、覚悟を決めてもらったら、逆に村長だった長島さんが子供たちに「村長さん、がんばってね」と励まされるようになったそうです。辛い状況の中でも家族の一員・コミュニティの一員であることを自覚できると、希望を失わずにすむ。それがコミュニティの原点だと。家族が新しいコミュニティを選ぶこともあるだろうし、元のコミュニティに戻ることもある。そこで大切なのは、赤ちゃんからお年寄りまで、「お互いが必要なんだ」という気持ち。ふるさとに対する愛着や、仕事の環境など、色々な事情が人それぞれある。政治はそうした状況と向き合いながら、皆さんの新しい生活をサポートしていければ。。。と考えておられるそうです。


ところで復興ハングアウトというプロジェクトの内容が立ち上げた当初とだいぶ変わってきていることにお気づきの方もいらっしゃると思います。少し説明しておきたいと思います。

=== 復興ハングアウト、活動の変遷===

第一回復興ハングアウトは「被災地復興の挑戦と現実。ラジオが届けた情報と地域の絆」ということで、石巻・山元町・南相馬の災害FMをつなぎ、第二回復興ハングアウトは「気仙沼仮設商店街の現状と今後に向き合う」ということで、被災地の現状を伺いました。

これらを通じて痛感したのは何かというと、被災者の皆さんが声を出し、思いをネットを使って全国の視聴者に伝えることをお手伝いすることはできる。それに価値があると思ったので、この復興ハングアウトというプロジェクトを始めたわけです。ところが、何が足りないかというと、そこで伝えられた問題に対して、解決の術がない。多くの問題は街づくりの問題だったり、政策の問題だったり。我々が聞いても解決できない。うーん、どうすればいいんだろう。

そこで始めたのが、自民党の青年局「TEAM-11」との連携でした。

TEAM-11の議員の皆さんは、毎月 11 日に被災地を訪問し、復興の現場を見たり、被災者の皆さんの生の声を聞いたりし、被災地の困難に向き合い、課題の解決に全国で取り組もうと尽力されています。我々も被災地を訪問したり被災者の皆さんの声をネットを通じて配信したりしていますが、「解決」のところにはどうしても手が届かないのを、実際に政策に携わっておられる議員の皆さんと連携することで解決していけるのではないか。

そんな期待もあり、TEAM-11 の被災地訪問に復興ハングアウトスタッフが同行させて頂き、復興ハングアウトにつなげていくという試みを行なっています。

=== 4/24 山元町と東松島との復興ハングアウト===

こちらが 4 月の復興ハングアウトのアーカイブ。TEAM-11 の熊谷大議員がスタジオにかけつけてくださいました。第一回の復興ハングアウトでもご出演頂いた山元町りんごラジオの高橋さん、そして宮城県東松島市の仮設住宅区長の宮澤さんにもお話を伺いました。

被災地からの声に対して、「お調べします」「お伝えします」とアクションを口に出せる熊谷さん。今までの復興ハングアウトでは「大変ですね」「そういう状況なんですか」と感想しか言えず、解決の糸口がなかなか見えなかった。復興ハングアウトが被災地のために、新たな一歩を踏み出したと思える瞬間でした。




こうしたハングアウトの前提として、毎月「11日」の TEAM 11 の被災地訪問にも、復興ハングアウトのスタッフが同行させていただいています。

=== 4/11 宮城南部訪問の同行===

4月の「11日」は山元町、利府町、七ヶ浜町、多賀城、仙台市を訪問。山元町役場での会議と、ようやく建設が開始された復興住宅の視察が行われました。



山元 若手議員の活動①
山元 若手議員の活動②地元の方の意見
七ヶ浜 若手議員③仮設住宅での意見交換
七ヶ浜 若手議員④仮設住宅 意見交換【動画】

スタッフのコメント:

・将来の生活再建という話題が多く、銀行からの融資条件(高齢者はダメなど)が厳しすぎるとの切実な意見が出されました。また、防潮堤や土地かさ上げ(土木工事)ばかりに予算をつけるのではなく、今現在の生活支援(人向け)にも予算をバランスよく使って欲しいとの意見も。 
・予算はあるのに、被災地の中では建設作業する人員が不足しているため、作業が遅れているとの現実的な問題点も話題にあがりました。

=== 5/11 大槌訪問の同行===

5月の「11日」。大槌を訪問する TEAM-11 の皆さんに同行させて頂いた復興ハングアウトのメンバーによるレポートはこちら。

5/11大槌 若手議員① 若者との意見交換会
5/11大槌 若手議員② 若者との意見交換会【動画その1】
5/11大槌 若手議員③ 若者との意見交換会【動画その2】

この時お会いした大槌の高校生の皆さんが、今回の復興ハングアウトの出演者です。こうやって、時間をかけて一歩一歩被災地の現状への理解を深めつつ、視聴者の皆さんにお伝えしていければと考えています。





=== 5/28 東松島との復興ハングアウト===

5月の復興ハングアウトのテーマは「被災地の産業復興について」

宮城県東松島市の仮設住宅区長の宮澤賢治さん、株式会社イグナルファームの阿­部聡さん、星名大地さん、武田真吾さん、そして東京からはブランド総合研究所の田中章雄さんにご参加いただき、被災地の産業復興について語って頂きました。

アーカイブ動画は下記からご覧頂くことができます。



Google+ イベントページ: https://plus.google.com/u/0/events/cudgrpruqk1ai8lkr1ukv5u6qmg


=== 6/11 只見町訪問の同行===

6月の「11日」は日本に戻っていたので、私もTEAM-11の皆さんに同行させて頂きました。

今回訪問した福島県の只見町は、2011 年 7 月の新潟・福島豪雨災害で被害を受けた町です。家が土砂に埋まったり、橋が落ちてしまって JR 只見線が運行できなくなったりと、大規模災害であったにも関わらず、福島県では放射能の問題がクローズアップされ、その陰に隠れてしまっていました。

当時の BLOGOS の記事「福島県只見町と金山町の被災現場実視

パーキングエリアで見せて頂いたパンフレット。

只見

只見

ちなみにこの JR 只見線、日経新聞 何でもランキング 紅葉が美しい鉄道路線第 1 位日経新聞何でもランキング 冬景色のきれいなローカル線第 3 位学研発行雑誌 「個室寝台列車とローカル線の旅」 秋の紅葉時期全国ベスト 10 で第 1 位を受賞している人気の高い鉄道です。


復興ハングアウト 只見町

損壊した JR 只見線の被害状況の説明を伺います。

復興ハングアウト 只見町

只見川の上流に位置する田子倉ダムを訪問。水力発電の稼働状況や管理体制について説明を受けました。

復興ハングアウト 只見町 復興ハングアウト 只見町


只見川流域 5 町村(只見町・金山町・三島町・昭和村・柳津町)の住民の皆さんとの意見交換の様子。

復興ハングアウト 只見町


===〈任せて文句垂れる社会〉から〈引き受けて考える社会〉へ===

今回の復興ハングアウトで長島さんが繰り返し繰り返し仰った「若い世代の人々が自分の町の未来を考えていくことがとても大事」ということ。今回出演して頂いた大槌の高校生たちが、自ら考え、町の未来の為に自分達ができることをプロジェクトとして立ち上げていっているということ。ちなみに、大槌高校の高校生たちは被災後に学校に行けるようになるよう、自ら通学路を掃除したそうです。この「自分で自分の町の未来を考え、行動する」ということがますます重要になると思います。

只見町の意見交換会で、TEAM-11の熊谷さんのお話がよかったので、あわてて手持ちの携帯で動画を撮りました。もっといいカメラでも撮影しているので別途アップされると思いますが、まずはこれだけ先にご紹介。



多くの方が「JR只見線が復旧されず困っています。なんとかしてください」とお願いする中、熊谷さんは「JR 側にどうやったら只見線を復旧しなきゃと思わせることができるかが大事」で、「そのためには市民の皆さんが自ら考え行動することが重要」と語り、いくつかの事例を紹介されています。

まず、島根県の隠岐の島前高校のお話。人口流出と少子高齢化で島から人がいなくなってしまい、高校が存亡の危機に陥った。そこで、高校を「魅力化」させて、高校に全国から人に来てもらうという「島前高校魅力化プロジェクト」を開始。数年前から始まったこのプロジェクトの結果、島前高校は各学年1クラスもままならないところから2クラスに、そしてそのうちの1クラスは全国から集まった寮生達。更には牡蠣や貝をつくり、わかめを作るために研究所を作り。。。と様々な商品開発を進め、産業を作り、現在は人口が増えてきているとのこと。この人口増加には、全国から集った高校生たちが戻った後、後輩をリクルーティングして送り込んできているということも寄与しているそうです。

もう一つの事例は北海道の奥尻島。地震・津波でやられたところですが、地元建築業界の方々が復旧・復興をなしとげて、更には新たな取組としてワインを作っているそうです。島の人口がどんどん減り、観光客もどんどん減っていく中、誘致策を作らないといけないということで、まずは「奥尻の水」の販売を開始。それによって流通網を確立した上で、農林水産省の補助事業を利用して「奥尻ワイン」というワインを作り始め、既に安定期に入ってどんどん優秀な商品を出しているそうです。

国を頼りにしてくださってありがたいと思います。国も一生懸命頑張ります。ですが、最終的には町の方々が立ち上がってこの町をどうしていくのか・どういう風に魅力化していくのかという意思と意欲がない限りは復旧・復興はままならない。ぜひ皆さんでその方策を我々と一緒に考えてください。とても美しく、魅力のあるこの町を信じて、JRに只見線を復活しなきゃもったいないよ!と言わせるような街づくりをぜひ一緒にさせていただけたらと思います。」と熊谷さんは結んでいます。

昔だったら、政治家の先生に「新幹線作ってよ新幹線。投票しますから」と陳情して任せていれば新幹線を作ってくれたのかもしれない。でも、そんな世の中ではなくなってきている。

以前、このブログでも宮台真司さんの「これまでの日本は〈任せて文句垂れる社会〉だった。これからの日本は自ら〈引き受けて考える社会〉へ」というお話を紹介させて頂きました。これ、本当に至るところで重要になってきていると思います。

最近「オープンガバメント」がバズワードになりつつありますが、オープンガバメントって政府にオープンにしろって文句たれて口開けてたらオープンガバメントが実現して魔法のように日本がいい国になっていた。。。なんて単純な話じゃないんです。Open Government の3本の柱の一つは「国民参加」だから、なんか政府が僕達の意見も聞いてくれるラッキーみたいに国民側が考えてたら、オープンガバメントは全然進みません。

政治家とかお役人が政策を考えてくれて、国民は文句をつけてるだけでいい時代は終わっていて、国民自ら何が問題なのか、どんな解決策があるのか、プランニングして実行して国を良くしていくということを引き受けていくという社会を作っていくのがオープンガバメントです。昔はお上に任せていればよかったところを、みんながやらないとダメなんです。

政策に文句つけているだけではなくて、法案をちゃんと読んで、理解して、脳みそ使って、対案を考えるとか、提案をするとか、実現させていくとか、やらないといけないという覚悟を、国民がもたないといけない。

アメリカで Aaron Swartz というアクティビストが自殺しました。それについてブログを書くとこの10倍は書きたいことがあるので割愛しますが、そもそもの根幹の問題となったのは Computer Fraud and Abuse Act という法律なのですが、その法律が悪いと文句垂れているだけではなく、法律を読み、対案を考え、Aaron's Law という改正法案を出すというところまで議員とアクティビスト達が動いています。

この動きは、Zoe Lofgren 連邦下院議員が Aaron の自殺直後に Reddit に投稿したところから始まっています。

Reddit: I'm Rep Zoe Lofgren & I'm introducing "Aaron's Law" to change the Computer Fraud and Abuse Act (CFAA)

Aaron's Law のドラフト: http://www.lofgren.house.gov/images/stories/pdf/aarons%20law%20-%20lofgren%20-%20061913.pdf
Aaron's Law のサマリー: http://www.lofgren.house.gov/images/stories/pdf/aarons%20law%20summary%20-%20lofgren%20-%20061913.pdf

Wired の記事: "Introducing Aaron’s Law, a Desperately Needed Reform of the Computer Fraud and Abuse Act"
Mashable の記事: "Aaron's Law Introduces Reform to Anti-Hacking Legislation"

Demand Progress の呼びかけ: ""Aaron's Law" would fix parts of the Computer Fraud and Abuse Act that mean that we are all federal felons. Please sign on to become a citizen cosponsor."

こうやって、テクノロジストや政治家、実務家、ハッカーやアクティビスト、そしてNPOや学生など、たくさんの立場の人達が一緒になって、自分の未来、自分の家の未来、自分の町の未来、自分の国の未来について学び、考え、行動を取っていくことはとても大事だと思います。

被災地を回らせて頂いている中で、色々な方が大変だったのだけれど、自治体の方たちの大変さ。ある自治体の方は、「昼間は市民の愚痴を聞き、夜は家で女房の愚痴を聞き、もう疲れました。私の愚痴は一体誰が聞いてくれるんですか」とこぼし、私はそこではいわゆる被災地支援活動ではなく愚痴を黙って聞くという活動をしました。別の自治体でも「職員が鬱病になりそうです」なんていう話を聞きました。

そんな中、今回復興ハングアウトに出演して頂いた大槌の高校生の「大槌の未来の為に、自分で何ができるか考えよう、自ら動こう」という思いと活動は、本当にみんなに元気を与えてくれると思います。

ちなみにオープンデータも、口を開けて待っていたら、なんかいいデータを誰かが口の中に放り込んでくれてウフフみたいなパラダイスではないんです。データをオープンにするのも大変です。データマイニングの経験者はわかると思いますが、ゴミデータをどんなにマイニングしてゴミな結果しか出て来ません。だからこそデータのバイアスチェックとか、データクリーニングとか、ちゃんとやらないといけないわけです。

アメリカのとある市の Code for America Brigade に参加したことがあるのですが、市の職員さんがとある施設の市内のリストデータを持ってきたので、それをぺろっと Fusion Table でマッピングしていっちょあがりと誰もが思った。ところが、よーくデータを見つめてみると、異なる施設名なのに住所が同じとか、データがかなり間違っている。それをいちいち調べてチクチク直すのをやってあげないと全然ダメなわけです。これは疲れる。データが膨大だったので。

別の機会に、とある国際組織の情報を開示すべしという話をしたのですが、データを出したくないわけではなく通常業務が忙しすぎてそんなことには手が回らないと。しかたがないので先方まで出向いてデータを探すという家探しみたいなことをして、そこから今度は必要なデータを探すという宝探しみたいなことをして、更にはそのデータをキレイにするという苦行を経てやっと情報を出し始めることができました。オープンデータを推進すべしと叫ぶ人は、そういうところを引き受ける覚悟をもたないといけない。

また、データをオープンにするだけでは全く意味がなくて、オープンにされたデータをきちんと利活用し、社会のために役立たせるところも市民がちゃんとやっていかないといけない。じゃないと「大変な思いをしてデータをオープンにしたのに、何も使われないからデータをオープンにするのをやめちゃおう」と言われてもしょうがない。オープンデータを叫ぶのであれば、データがオープンにされたら自分は何をやって、何に貢献できるのかを責任を持って考え、実行しないといけない。文句たれてれば誰かが解決してくれる時代は終わっていて、自分で考えて行動しないといけないのです。

だけど、それによって、市民自らの手によって、より素晴らしい未来を切り開ける可能性があるとしたら、素晴らしいことですよね。復興ハングアウトで色々な方のお話を伺っている中で、自分の町の未来を自分で考え、そして作っていこうという若い力が色々なところで見えてきていました。また、政治家の皆さんも「俺がなんとかしてやる」ではなく「町の皆さんも一緒に考え、知恵を出して、一緒に解決していきましょう」と寄り添いながら語っていました。


=== 復興ハングアウトの今後===

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・復興ハングアウトの公式サイトはこちらです。アーカイブはこちらにまとめてあります。

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