2012年7月11日水曜日

We are all radioactive

●We Are All Radioactive●

友人の Lisa が "We are all Radioactive (僕らはみんな放射能)"という映像作品を作っています。Season1 の 4 本の動画が公開されたとのことで、改めてご紹介。

まずは自腹で被災地に行って動画を撮影し、Indiegogoというクラウドファンディングの仕組みを使って資金調達。被災地にビデオカメラを置いてきて、現地の皆さんに撮影を続けてもらう。よって、動画の半分は撮影チームが撮ったもの、あとの半分は現地の皆さんが撮ったものを編集して作られているという。

ティザー動画

 
We Are All Radioactive - official teaser from Lisa Katayama on Vimeo.

第一話

 
We Are All Radioactive - Chapter 1: Autumn from Lisa Katayama on Vimeo.

第二話

 
We Are All Radioactive - Chapter 2: Fishing Master from Lisa Katayama on Vimeo.

第三話

 
We Are All Radioactive - Chapter 3: Reconstruction from Lisa Katayama on Vimeo.

第四話

 
We Are All Radioactive - Chapter 4: Radiation from Lisa Katayama on Vimeo.

第五話


We Are All Radioactive - Chapter 5: Measurements from Lisa Katayama on Vimeo.


●中禅寺湖のニジマス●

震災から一年以上がたちました。

2012年。栃木県の中禅寺湖のヒメマスなどの魚から、基準値を超えるセシウムが検出され、マス釣りはできなくなりそうになりました。(基準値は100ベクレル/kg)


No.187:栃木県産ヒメマス(Cs:150 ベクレル/kg) 
No.188:栃木県産ブラウントラウト(Cs:220 ベクレル/kg)

3月8日の検査結果


ヒメマス      195.7ベクレル/kg 
ブラウントラウト  280.0ベクレル/kg 
ニジマス      168.9ベクレル/kg 

4月18日、19日の検査結果


ヒメマス     169.8ベクレル/kg
ブラウントラウト 156.4ベクレル/kg 
ニジマス     147.2ベクレル/kg 


鱒釣りは中禅寺湖周辺の大きな収入源。結局、「キャッチアンドリリースする」という条件で解禁されました。ただし、お客さんの入りは例年の10分の1ぐらいらしい。栃木にもこうして経済的な影響があります。 


中禅寺湖やっと船釣り 放流条件に試行スタート
中禅寺湖漁業協同組合


ちなみに、中禅寺湖周辺の空間線量は東京と同じくらいなので、それほど高くない。また、中禅寺湖の魚を 2011 年の 5 月に測ったときはそれほど高くなかったそうです。


何が起きているかというと、川に降り注いだ放射性物質が湖に溜まってしまったのではないか。また、食物連鎖によって、放射性物質がどんどん濃縮されてしまっているのではないか。先日テレビを見ていたらそんな推察が行われていました。


放射性線量そのものは減衰して減っていくものですが、魚から検出された放射性物質が去年より上がってしまっていることに改めて危機感を覚えました。福島だけの問題ではなく、We are ALL Radioactive なんだという自覚。

ちなみにこれが元データのPDF

またPDFかーと思ったので、ためしにこれをGoogle Driveに読み込んで、docsで吐き出してテキストに :) このままcsvにできるとよいのですが、うーむ。




●国会事故調●


国会事故調による、事故原因究明のための調査結果も公開されました。1167 人、900 時間を超えるヒアリング、9 回に及ぶ原発視察、そして被災地でのタウンミーティングや 1 万 633 人が回答した被災住民アンケート、そして福島第一原子力発電所で作業に従事されていた方を対象とした、2415 人の東京電力及び協力会社の方々への従業員アンケート。もちろん東京電力、規制官庁への調査も行なっています。黒川先生、委員会の皆様、お疲れさまでした!

黒川先生の「はじめに」から少し抜粋:

世界が注目する中、日本政府と東京電力の事故対応の模様は、日本が抱えている根本的な問題を露呈することとなった。 
<中略>
ほぼ 50 年にわたる一党支配と、新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった官と財の際立った組織構造と、それを当然と考える日本人の「思いこみ(マインドセット)」があった。経済成長に伴い、「自信」は次第に「おごり、慢心」に変わり始めた。入社や入省年次で上り詰める「単線路線のエリート」たちにとって、前例を踏襲すること、組織の利益を守ることは、重要な使命となった。この使命は、国民の命を守ることよりも優先され、世界の安全に対する動向を知りながらも、それらに目を向けず安全対策は先送りされた。 
<中略>
「変われなかった」ことで、起きてしまった今回の大事故に、日本は今後どう対応し、どう変わっていくのか。これを、世界は厳しく注視している。この経験を私たちは無駄にしてはならない。国民の生活を守れなかった政府をはじめ、原子力関係諸機関、社会構造や日本人の「思いこみ(マインドセット)」を抜本的に改革し、この国の信頼を立て直す機会は今しかない

で、この報告書に対して、せっかく600ページに及ぶ報告書を読まずに、巻頭メッセージだけ読んで脊髄反射みたいなツイートが散見されていて少し残念。黒川先生は「日本人の国民性のせいだから誰も責任を取らなくてもおk」なんてことを言っているわけではなく、東電のダメ出しをし、50年の一党支配にあぐらをかいてやるべきことをやっていなかった自民党にダメ出しをし、政権交代した民主党の、官邸の対応にダメ出しをし、保安院も規制当局もそれぞれダメ出しをした上で、「これは人災だ。天災だと言って責任逃れするな」とおっしゃっており、かつ「人災だから悪かった人、悪かった会社をすげ替えればいいってもんじゃない。もっと根本的に、日本人が考え方や社会構造、マインドセットを変えなきゃダメだ」と提言されているのだと思います。更には、自民党を民主党に変えれば、あるいは民主党を自民党に変えれば、総理を変えれば、東電をつぶして新しい組織を作れば解決することじゃない。もっと根が深い。日本人のマインドセットを変えないととまたこういう問題が起きるという危機感を日本人みんながもってほしい、と日本全体に呼びかけているのだと思う。311だけの問題でも、福島だけの問題でも、原発だけの問題だけでもないという思いもあると思う。ぜひみんな、報告書をちゃんと読もう。たった一ページの巻頭メッセージだけ読んで、脊髄反射していちゃ、いけない。


【事故の根本的原因 】から少し抜粋
事故の根源的な原因は、東北地方太平洋沖地震が発生した 3.11 以前に求められる。 
<中略> 
当委員会の調査によれば、3.11 時点において、福島第一原発は、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態であったと推定される。地震・津波による被災の可能性、自然現象を起因とするシビアアクシデント(過酷事故)への対策、大量の放射能の放出が考えられる場合の住民の安全保護など、事業者である東京電力及び規制当局である内閣府原子力安全委員会、経済産業省原子力安全・保安院、また原子力推進行政当局である経済産業省が、それまでに当然備えておくべきこと、実施すべきことをしていなかった。 
<中略> 
平成 18(2006)年には、福島第一原発の敷地高さを超える津波が来た場合に全電源喪失に至ること、土木学会評価を上回る津波が到来した場合、海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院と東電の間で認識が共有されていた。保安院は、東電が対応を先延ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。
<中略>
このように、今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま 3.11を迎えたことで発生したものであった。

当委員会は、本事故の根源的原因は歴代の規制当局と東電との関係について、「規制する立場とされる立場が『逆転関係』となることによる原子力安全についての監視・監督機能の崩壊」が起きた点に求められると認識する。何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなくあきらかに「人災」である。

【問題解決に向けて】

本事故の根源的原因は「人災」であるが、この「人災」を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決策とはならず、失った国民の信頼回復は実現できない。これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれらを許容する法的な枠組みであった。また関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット(思いこみ、常識)であった。

当委員会は、事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の「逆転関係」を形成した真因である「組織的、制度的問題」がこのような「人災」を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは、再発防止は不可能である。

【事業者】

東電は、エネルギー政策や原子力規制に強い影響力を行使しながらも自らは矢面に立たず、役所に責任を転嫁する経営を続けてきた。そのため、東電のガバナンスは、結論と提言結論自律性と責任感が希薄で、官僚的であったが、その一方で原子力技術に関する情報の格差を武器に、電事連等を介して規制を骨抜きにする試みを続けてきた。

当委員会は「規制された以上の安全対策を行わず、常により高い安全を目指す姿勢に欠け、また、緊急時に、発電所の事故対応の支援ができない現場軽視の東京電力経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか」との疑問を呈した。 

また、この報告書が出ることで「やれやれ終わった終わった」と過去の物にしてはアカンぜよと。今なお事故は継続しおり、設備の脆弱性に対応しなければいけないという現実は変わっていない。被害を受けた住民の皆さんへの対応もちゃんとやれとおっしゃっている。まだまだ、これから。

当委員会は、「事故は継続しており、被災後の福島第一原子力発電所の建物と設備の脆弱性及び被害を受けた住民への対応は急務である」と認識する。また「この事故報告が提出されることで、事故が過去のものとされてしまうこと」に強い危惧を覚える。日本全体、そして世界に大きな影響を与え、今なお続いているこの事故は、今後も独立した第三者によって継続して厳しく監視、検証されるべきである。

ダイジェスト版



この報告書、全部抜き書きするわけにはいかないけど、読めば読むほど色々アレで。例えば P104の原子炉主任技術者の配置とか。原子炉等規制法では、原子炉の運転保安を監督するため、炉ごとに原子炉主任技術者の専任が義務付けられているのに、実際は一人で複数炉を担当していたという。

。。。って、えっ。(つд⊂)ゴシゴシ



P120 シビアアクシデント対策範囲の狭さと遅れ。IAEAでは5層の深層防護の考え方をとっており、1〜3層は炉心の損傷を防ぐまでのprevention、第4層は炉心の深刻な損傷とその影響を緩和するためのmitigation、第5層は放射性物質の放出から住民を守るためのevacuation。だが、日本では第3層までが対象で、第4層・5層は「あくまで事業者の自主対応による知識ベースの対策とされている」と。


日本は過去や海外の知見から学び、広範な起因事象を想定した対策を取らず、事故が起こるとその事故のみに対応するというパッチワーク的な対策に終始してきたとの記述。過去と海外の知見とは、例えばチェルノブイリ。チェルノブイリ事故前は、IAEAでも第3層までの深層防護が示されていたが、事故後はシビアアクシデント対応強化のため、5層の深層防護に変えられ、アメリカでは更に第6層(siting、立地)が定義されている中、日本はそれらに学ぶことなく依然として3層でしか考えていなかった。


そもそもシビアアクシデントを考えていなかったというのは大変な間違いだった。決定論的な考え方だけでなく確率論的な考え方とか色々なものを組み合わせて適切に考えなさいと国際的な安全基準はなっているが、全く追いついていない。ある意味では30年前の技術か何かで安全審査が行われているという実情がある」(班目春樹 原子力安全委員会委員長)

色々な何かが起こる可能性があることについての備え、体制の問題あるいは安全基準の問題、色々な形、意味での備えが十分できていない中で事態が発生した」、「事態が発生した後の対応についても備えについて足りない点が多くあった。規制当局として大変問題があった」(寺坂信昭 前原子力安全・保安院長)





海外では内部事象を超え、外部事象(地震、内部火災、強風・トルネード、外部洪水、輸送や付近施設での事故など)や航空機テロ等の人為的事象についても想定を行っているが、日本では内部事象のみ。米国の設計要求では、使用済み燃料プールの破損に備えた外部注水ラインの敷設や仮にプールを冠水できない場合であってもスプレーによって使用済燃料を冷却するように求めるなど、高いレベルの安全対策を求めているのに対し、福島第一原発はじめ日本の原子力発電所ではそうした対策は取られておらず、今回のような危険な状況になった可能性がある、との報告。


「わが国においても、福島第一原発はもちろんのこと、すべて原子力発電所では早急にB.5.bで指示されている対策の導入を検討すべきである」との提言。つまり、この事故を経てすら、そこはまだ改善されていない。


インタビューの記述も生々しい。P154、3月12日の1号機ベントの話。


「早くしろということだったんですけど、お聞きのとおりに、電源がない、空気弁もないということで、バルブが、その、開閉できない状態で、そうすると、マニュアルでいくしかないんですね。一号機については、もう線量が上がってきたので、非常に厳しい状態で、いただけないと。いろんなやり方考えました。コンプレッサーなんかも、もうその、ガスコンプレッサーを、ベビーこんってちっちゃいやつでやったんですが、あれじゃあ全然動かなかったんで、協力企業さんにお願いして、土木業のほうで作業したりなんか、結局、その、動かすための手間っていうのが、すごくかかりましてですね。・・(中略)だから、みなさんがベント、ベントとおっしゃってるんですけど、現場から言うとですね、そのベント自体がですね、本当にできてんのかどうかがですね、わからない状態です。ですから、もうそこに全力かけてましたから、あの、ディスターブされたとかですね、いう話もあるんですけど、もうパラでも現場でいろいろ考えてやれってんで、指示してやってましたから、邪魔されたっていうよりも、作業そのものが、なかなか進まなかったということですよね。・(中略)・こっちからすると、必死でやっててあれだったんですよ」

3月14日、3号機の空だき状態は続き、4時半に炉心が完全に露出。更には11時01分に原子炉建屋が爆発。


「2号機の準備が、ある程度、整ってきたときに、3号機の水素爆発があって、で、もう、海水注入のシステムは1号、3号、4号含めてですね、瓦礫でですね、とまっちゃった。で、これがダメだっちゅうんで、みんなもう、あの、3号が爆発してオタオタ状態でですね、全員一回引き揚げさせたんですけど、悪いけど、もうこれ以上爆発しないから、現場行って、瓦礫片付けて、注入ラインの再構成頼むと。」
「あの線量の高い瓦礫をですね、よくね、本当に協力企業さんなんですけどね、僕らはみんなバックホーなんかは、エンジニアの人間ができなきゃいけないなっていうのは、つくづく思ったんだけど。協力企業さんがやってくれましてね。で、短時間で、僕が考えているよりよっぽど短時間でやってくれて、ラインナップの構成もですね、やってくれた。で、ようやくできそうだったんですけど、えーと、2号機の場合はですね、長く、こう、引っ張ってたんで、格納容器の中の、下のサプレッションチェンバーの温度が非常に高くなってる。そこに蒸気逃がすんですけど、これ普通の50℃ぐらいのあれだとすぐに凝縮するんですけど、ここの温度が百何十度だったんで」
この、報告書を、みんながちゃんと読まないと、本当に浮かばれない。

アンケートの自由解答欄からもほんの少し抜粋。

大熊町の住民
「警察か誰か、白いマスクをした人がただ「西」へ逃げろと言うだけで具体的な指示はなかった。私どもは川内村を目指したが車が渋滞して、普段30分程の行程を5時間位かかってしまった。川内村では道路も広場もどこもかしこも車でいっぱいで葛尾村へ避難し、一泊したが、その晩そこも避難対象区域となってしまった。一才の孫と一緒で大変心配したし、今でも心配している。私は透析患者で病院を懸念したが、幸い郡山で透析出来て良かったが、一週間ほど透析出来ない人もいたと聞く。病院も国の機関で取り扱って欲しい」

川内村の住民
「3月11日に事故の第一報を聞いてから、直後、村に多くの方が避難してきました。若い人達はケータイで、チェーンメールのように「逃げろ」と連絡しあっていました。でも、正式に避難についての情報は、どこからも入りませんでした。防災無線で屋内退避といわれただけです。警察に家族が勤務している近所の人が、「なんだか危ないから逃げる」というのを聞いて、自主避難しました。14日には、警察はもう川内村を出ていたと聞きます。ボランティアで村内の炊き出しをしていた人は、村内の移動でガソリンを使い果たしていました。少しでも早く逃げるのを助けてほしかったと思います。見殺しにされたという思いが消えません」

浪江町の住民
「SPEEDIが公表されず、一番放射線の高い所に避難したことは、一生健康面で脅かされます。なぜ公表しなかったのか、人の命を何と思っているのでしょうか。自宅の方もとても住める状態でなく、インフラの整備、除染など難しく、また中間貯蔵施設が近く、大きな不安を感じます」

参考資料



会議録



 Disclaimer このブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。