2012年6月9日土曜日

Big Tent Mountain View -1

Big Tent の紹介を続けましょう。

Big Tent Mountain View のテーマは "Digital Citizenship"。

投げかけられた質問は以下の 3 つ。
What social norms should we have online and how should we enforce them?
How can citizens contribute to their communities through digital technologies?
What are the implications of technology on lifelong learning and our culture as a whole?

オンラインでは、どのような社会的規範を持てばよいのか、そしてどうやってそれを実行していけばよいのか。
市民はどうやってデジタル技術を使ってコミュニティに貢献すればよいのか。
生涯学習や文化に対してテクノロジーはどんな示唆を与えられるのか。

ブログ記事:The Big Tent, and big ideas, arrive stateside

会場の様子、こちらはステージ。

Big Tent Mountain View

懇親会のためのビッグなテント。

講演を聞くだけではなく、議論を尽くすことも Big Tent のバリューの一部なので、講演者と直接お話できるのもよかったです。例えば、Vint Cerf さんはパネルにも登壇していたし、Jennifer のセッションでは会場から質問もしていたし、終了後も来場者とずっとお話をされていました。私も出張したときに時々すれ違っていますが、一対一でちゃんとお話ができたのはこの時が初めてでした :)

Big Tent Mountain View

会場は Computer History Museum だったのが、素晴らしかったです。geeky なあれこれの横に Big Tent な物が並んでる :D

Big Tent Mountain View

Big Tent Mountain View

ハイライト動画。



タイムテーブルスピーカープロフィールはこちら。

[Keynote] - Adora Svitak (Writer)
[Panel] - Playing nice: the challenges of the online playground
Moderator: Reihan Salam Panelists: Amanda Lenhart (Pew), Del Harvey (Twitter), Victoria Grand (YouTube)
[Keynote] - Wendy Kopp (TFA)
[Panel] The Internet as your blackboard: using technology to encourage lifelong learning
Moderator: Reihan Salam Panelists: Esther Wojcicki (Palo Alto High School), Lisa Babinet (Waldorf School), Ahrash Bissell (MITE)
[Panel] - Tomorrow’s world starts today: building a strong, connected community
Moderator: Reihan Salam Panelists: Nancy Conrad (Conrad Foundation), Jillian York (EFF), Tiffany Shlain (Filmmaker)
[Fireside] - Jennifer Pahlka (Code for America) with David Drummond (Google)
[Panel] - On the horizon: what we need for a responsible and innovative web
Moderator: Reihan Salam Panelists: Urs Gasser (Berkman Center), Daniel Kent (Net Literacy), Vint Cerf (Google)

皆さんは Adora Svitak さんを覚えていますか?ずっと前にこのブログでも紹介した、"What adults can learn from kids"という TED talk をした彼女です。



12 歳だった彼女が、14 歳に成長して基調講演のスピーカーとして Big Tent にやってきました。大きなカンファレンスの基調講演スピーカーに 14 歳の女性を起用する、というのはなかなか日本では見られないですよね。

今の若者達がどうネットを使っているのか、子供が子供にオンラインで教えるマテリアルの紹介、教師と生徒の関係がどうあるべきかなど、彼女の視点から語られていきます。



「教師は道路の終わりにいると思われているけど、実は道路の途中に立っていて、生徒が行くべき方向を指し示し、そして生徒と共に歩んでいくものなのではないか」

「オンラインであなたがやることは必ず現実のあなたに返ってくる」馬鹿なことをやれば痛い目を見る。まずい写真を Facebook にアップしようとした時に、「本当にその写真アップしていいの?」とフィルタリングしてくれる機能は今は存在しない。これをアップしても本当に大丈夫なのか。何年後かの就職活動の時困る事態にならないか。自分で自分のフィルタリング機能を果たさなければいけない

よく、学校ではあのサービスは禁止、このサイトは禁止、と何でも禁止する。あるいはホワイトリストされたサイト以外はすべて見れなくしていて、Google 検索すら使えなかったり。でも、昔、ストーブに触ったら危ないということを子供にはどうやって教えていたのかを思い出すと、ストーブを触りたがる自分に対して、親はちょっと温度を上げてちょっと触らせた。その結果、ストーブは危ないと覚え、自分は二度とストーブに触りたいとは考えないようになった。でも、この程度では火傷にはならない。そうやって学んでいく。で、大きくなってちょっと触ってみたら意外と大丈夫ということがわかる。道の渡り方もそう。教えて、やらせてみないと道も渡れないような大人ができてしまう。子供に対して教師がすべきことは、何でも禁止するのではなく、きちんと考えさせること。きちんと教育すること。短期的な視野で何でも禁止すればよいという物ではなく、長い目で子供にとってベストなソリューションを考えていかなければいけない。自分も昔、YouTube に馬鹿な動画(ノマノマダンスを踊ってるのとか)をアップしたりしたけれど、自分もひどい経験、恥ずかしい思いをして、ほぼ全ての動画をプライベート設定にした。ストーブを触るのと同じで、これで一つ賢くなって、もっと馬鹿なことをするのを防ぐことができたと思う。

オンラインの世界には恐ろしいこともあるけれど、可能性もある。賢く使わなければいけない。インターネットは人にとって、人道にとって素晴らしいものでありうるはず。大人の皆さんは、我々子供がそれを推進するのを、推進してください。

前にもこのブログで取り上げた  Code for America ですが、今回も創業者 Jennifer Pahlka が fireside chat で登壇。相変わらず面白いのですが、45 分もあるので最初の 10 分だけメモ。



Code for America をやっていると、政府側からは「あーシリコンバレーの人達がまた政府を変えに来たのね」とか思われるわけなんだけど、このプロジェクトをやっている理由は他にもあって、エンジニア達を変えるという意味もあります。技術やデザインのスキルを持っている人達が、政府について理解し、なぜ国の仕組みがこうなっているのかを学び、その価値を理解した上で、改善することに貢献するような、そんな新しいコミュニティや若い世代を作っていく

Code for America に参加するフェローの若者たちは、プログラミング等のスキルは高いのですが、知らないこともあります。彼らはまず、 4 週間のトレーニングを受けて、官僚組織での働き方を学びます。政府の中で働き始めたらどんなことに直面するかをここで知るのです。その一つが「交渉術」です。Jennifer 自身もこのコースを受けたそうで、「win-win って単語、陳腐だなあといつも思ってたんだけど、このコースを受けて考えが変わったわ。ちゃんと価値もある。自分が乗り込んでいって人々の考えを変えさせるのではなく、既存のシステムと手を組んで、物の見方を共有していく。」という風に意識が変わったそうです。

地方自治体の職員がどれだけ人手が足りていないかも、最初は理解できていなかった。リアルタイム交通情報のシステムをもっている自治体があって、バスがいつどこにいるかはわかる。だけど、そのシステムがどう動いているのか、データがどうなっているか、そのデータの価値、そのデータを取り出せれば他の人が更に素晴らしいアプリを作れるかもしれないという事実をわかっている人はその市役所には一人も存在しない。市役所の人達が悪いわけではなく、そういうリソースしか市役所にはいなかった。データは使えて当たり前と思っている技術者と、それを想像することもできない職員のギャップは大きい。

ボストンではそうしたギャップを乗り越えたよい事例もある。スクールバスのリアルタイムトラッキングシステムはあったのだが、ある日雪が大量に降って、スクールバスがみんな止まってしまい、心配した親たちが電話をかけてきて、コールセンターはパンク。そんな現場にカリフォルニアから来た若者エンジニア4人が送り込まれてきた。コールセンターの人達は基本的にはスクリーンを見て、「あなたの子供がいるバスはここにいます」ということを伝えているだけ。それを見たフェロー達は、「親御さん達が自分で直接バスの位置を見ることができるアプリを作りましょうか?」と提言し、データへのアクセス許可をもらって一日でアプリを完成させてしまった。

長くなったので、マウンテンビューはもう一個に記事を分けましょう。

おまけ:Big Tent ホワイトチョコ :)

Big Tent Mountain View


Disclaimer このブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。