2012年2月27日月曜日

Hack For Japan 第一回の舞台裏 #hack4jp

3月11日が近づいて来ました。

改めて、Hack For Japan 第一回がどうやってできたのか、今まで語っていなかった舞台裏を振り返ってみたいと思います。

Hack For Japan

●始まりは

3 月 11 日〜 17 日にかけて、ハッカソンをやろうというメールが技術者の間であちこちで飛び交いました。Crisis Responseのハッカソンをやるべきだという声は当時本当に色々なところから上がっており、一本化して、Amazon や Yahoo 等の他社さんにもお声がけしたムーブメントにしようと動いてはいましたが、実は 3 月 17 日の時点では、2 日後の 19−21 日の連休に開催することを決定しただけという状況で、3/17-21 にかけて動きながら全て決めていった、という感じでした。Launch and Iterate ですね :)

3 月 17 日夕方、アメリカから成田に帰国。当時福岡にいたTakuyaさんと空港から電話で会話し、開催日を決め、スーツケースを引きずりながらそのまま会社へ。19−20 日に行うオンラインアイディアソンでどんなテクノロジーを使うかも決めておらず、21 日に行うハッカソンがオンラインなのかオフラインなのか、オフラインなら場所はどこでやるのかすら決めていなかったので、まずは企画内容を練り始めました。

3 月 18 日 2:10 AM に Google API Expert の皆さんに送ったメールで Crisis Response のための hackathon 開催について相談。「まずは Google Wave を使ってアイディアソンをやろうと思っている」と書いたところ、当時 Google Wave API Expert だった a2c さんから「Google Wave はアイディアを拡散するには向いているけど、選択と集中が難しい。Google Moderator を併用するのがいいと思う」とのアドバイスが。これが本当にドンピシャで、Wave だけだったら大変なことになっていたと思います。

また、その日のうちに速攻で安藤幸央さんが「Crisis Response UI - 災害時サービスでUI+UXデザイナーができること」というスライドを作って公開してくださっていました。まだ見ていない方がもしいらっしゃっていたら、今からでも遅くないのでぜひ。そしてこの後数日で API Expert の皆さんがくださったアドバイスとそのやりとりのメールは実は 100 通を超えています。全てを紹介できませんが、とにかく鬼のようなメールの流量でした。皆さん、本当にありがとうございました!

●物理的な会場探し

東京は余震もあり、企業はイベントを自粛している時期だったので、西日本での開催を検討するも、スタッフは西日本でイベントを開催したことがない。しかも日本中がてんてこ舞いなこの時期に。2 日後にイベント会場を貸してくれと。そんなこと、賛同してくれたどの企業も(Google も Yahoo も楽天も)、多分誰もできない。可能にしたのは、地元の開発者コミュニティ(Google Technology User Group)の皆さんだったのです。

京都は KRP (京都リサーチパーク)さんをお借りできないかと私がメールをしたのが 3 月 18 日 5:22 PM、そしてそれを見た当時京都 GTUG のマネージャだった山下さんがすぐに KRP に電話をして 18 時からミーティングをして京都会場の開催をその場で決定してきてくださいました。超絶スピード。このときの山下さんのメールが男前過ぎて泣ける。
私の Hackathon 運営経験値は関西で一番高いと思いますので、基本的に丸投げしてもらっても大丈夫です。
中国 GTUG のマネージャの横山さんも、こんなイベントをやりたいんですけれどと打診した 4 時間後には会場を既に決定して、アナウンス可能な状態にして連絡してきてくださり、その日に出席していた別イベントでその場で告知&集客を開始してくださっていました。

福岡会場に至っては依頼メールを送ったのが 3/18 8:56 PM、九州 GTUG のメンバーのしかじろうさんから会場を押さえましたの連絡が入ったのが 9:29 PM。。。たった 30 分で開催も会場も決定してくださっていました。

四国は、高松で会場が見つからず、開催しないことになりそうだったのが、四国 GTUG メンバーの方が 3/20 3:33 PM に「四国で 21 日、緊急で開催できませんかね。徳島なら会場のアテがあります。参加者について僕含めてミニマム三人確保できるなら動きますが。」とまさかの開催宣言。素晴らしい!

GTUG の皆さん、本当にありがとうございました。皆さんがいなかったら、ハッカソンの開催は不可能でした。

●Go West!

19 日にアナウンスして、翌々日の 21 日にハッカソン開催、しかも 3 連休中ときたら、普通の人はでかけていて、参加できないですよね。今考えれば当たり前のことなんですが、京都会場の集客がかなりピンチだったのです。

「API Expert の中で、京都まで来てくださる方いませんか?」と恐る恐るメールで打診をしてみたのがなんと前日の 3/20 12:46 PM。白石さん、安生さん、小松さん、a2c さんが続々と「行きます!」メールを送って下さり、新幹線に飛び乗って京都までいらしてくださいました。

そして、会場でも皆さんがアイディア出しから開発まで様々なプロジェクトを引っ張って下さいました。

API Expert の皆さん、本当にありがとうございました。皆さんがいなかったら、Hack For Japan の成功はありませんでした。

●なんでこんなにスピーディにイベントを組み上げられたか

イベントの運営に関しては、すべて既存のテクノロジーを利用し、組み立てました。新しく何かを作っていたら、こんなスケジュールで開催するのは不可能だったと思います。

・参加フォームには Google Formを利用。作るだけなら2分で申し込みフォームが作れるのがFormのいいところ。名前や参加する会場などを入力してもらえれば、自動でデータが落ちてくる。便利。


アイディア出し(アイディアソン)には Google Waveを利用。作るだけなら3分で作れる。スレッドさえ立ててしまえば、みんながたくさんのアイディアを投稿してくれて、どんどんレスがついていく。Wave を使おうと思ってる、と書いただけでまだ立ち上げてなかった時点で既に a2c さんから「Wave立てておきました!」との連絡が。速かったなー。


アイディアの投票と収斂にはGoogle Moderatorを作成。作るだけなら1分で作れる。アイディアを投稿し、「自分も賛成!」と思った人がボタンひとつで投票できる。


まとまったアイディアを一覧性のあるプロジェクトリストにするのは Google Spreadsheetで。作るだけなら1分で作れる。プロジェクト名、概要、リーダーの名前などを入力してもらい、参加したいメンバーは自分が参加したいプロジェクトのところに名前を加えていく。


あれこれ情報がたまってきたので、公式サイトをGoogle Sitesで作成。作るだけなら3分で作れる


・プロジェクトのコードを共有するリポジトリにはGoogle Project hostingを利用。作ろうと思う前に山下さんから「作っておきましたー」と。これも速かったなー。


・ネット中継には Ustream を利用。この非常事態の時に帯域食わない?と心配されましたが、一応某N社の方にも相談して、やることにしました。


・告知とPRにはブログを利用。プレスリリースとかは一本も出しませんでしたが、たくさんの人が Google、Yahoo、リクルートなど各社のブログにアップされた記事を見て、告知をして下さいました。ありがとうございました!

Google Developer Relations Japan Blogに掲載した "Hack For Japan” 開催のお知らせ



●みんなが色々作ってくれた

京都に来てくれませんか?という泣きのメールを見てすぐに新幹線に飛び乗ってくれた a2c さんは「新幹線の中で Hack For Japan のロゴを作っておきました!」と下記を電車の中から送って下さいました。皆さん、このロゴがイベント当日に、しかも新幹線の中で作られたとは思わなかったでしょう。今もHack For Japan のロゴとしてあちこちで活用させて頂いています。

それを見た元 API Expert で現在 Googler の佐藤さんが、「じゃあ僕 Ustream 配信しますよ。」と仰って下さり、配信用のアカウントと機材の準備をしてくださることになったのが 3/20 7:42PMと開催前夜。しかもそのアカウントには既にできたばかりのロゴが埋め込まれていました。さすがすぎる。


アイディアソンが始まると、アイディアが爆発的に増え、まとめないとどうしようもない状態に。うーん、困った。。。と思っていたら、当時アメリカにいた Googler の三廻部さんが日本が夜の間に Wave のアイディアの論点まとめを作ってくださっていました!三廻部さん、ありがとうございました。


更に、API Expert の古籏さんが Moderator のまとめを作ってくださっていました!古籏さん、ありがとうございました。


こうした開発者の皆さん一人一人のお力添えがあってこそ、Hack For Japan はじめ様々な活動ができているのだと思います。皆さん、ありがとうございました!

●難しさ

今回のプロジェクトの難しさは実はテクノロジーそれ自体ではない。その話は開催前から実はしていました。

山下さん:
告知する時に単発のイベントではない(Hackathonでの発表がゴール
ではない)という事を明確にしておいた方がよいかもしれません。

どうしてもHackathonだと発表がゴールになって色んな所がハリボテだったりするので。

もちろん完成した機能からどんどん公開するのはアリだと思いますが、あくまで目標は"本当に"役立つ支援サービスを作ってITの力で支援していく事で、必要なら長期的に開発やデータ登録作業をして行くという事を周知しておいた方が良いと思います。
(というか私はそのような想いでいます)
安藤さん:
通常のハッカソンは「作りたいもの」を作る雰囲気ですが、
今回はちょっと意味合いが違って、あまり目立たないとしても
確実に「役立つもの」を素早く作ることが使命では無いかと考えます。

なんでもかんでもではなく、
限られたリソースを集中させて、
確実に素早く成果をあげることができれば!
私:
Hackathonという言葉自体が先入観を与えるかもしれませんね。

Hack For Japan というイベント名をメインに、
オンラインできちんと要望を投稿できて
それをvoteすることで収斂できて
重要度の高い物を、エンジニアが作っていく。

そのプロセスの中に、アイディアソンとハッカソンがあるけれども
ハッカソンの一日は主役ではない。
もう少し長期的に考えていきたいと思います。
これ、今も思っていることなのですが、ハッカソンは単なるきっかけでしかなく、重要なのは必要な物を、クイックに作ってすぐにローンチしたり、新しく作らなくても既にあるたくさんのテクノロジーの組み合わせでハックしていくこと。次のハッカソンを待つのではなく、ハッカソンが終わってからも(次のハッカソンなんてなくても)開発は続けていく。。。ということが重要だと思います。

もうすぐ3月11日。これからも、復興に向けて、また新しい形で何か役立つことをやっていければと考えています。

2 月 15 日に、気仙沼に行ってきました。11ヶ月もたっていますが、復興まではまだ時間がかかる、みんなの力がまだ必要だと感じました。右手でスチル左手で動画だったのでところどころ斜めったり動画のクオリティは低いですが、この動画を通じて皆さんに伝われば、と思います。

2012年2月15日 : 気仙沼市弁天町付近にて撮影


2012年2月15日 : 気仙沼市魚浜町付近にて撮影


2012年2月15日 : 気仙沼市朝日町付近にて撮影


Disclaimerこのブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。