2011年12月29日木曜日

A Conversation With Emily Bell and Joichi Itoの動画

"A Conversation With Emily Bell and Joichi Ito"という動画がとてもよいのでぜひまだ見ていない人は見るとよいと思います。




長いので少しだけ抜き出し:

日本ではマスメディアとソーシャルメディアと一般市民があまりうまく噛み合っていない(対立している場合もある)ように見えるけど、Joiが例として挙げているエジプトの件なんかはとても面白くて、体制に物申す市民達(アクティビスト)とマスメディア(Al Jazeera)とソーシャルメディア(Twitter)がうまく協力しあっている。もちろん「協力しあおうよ」と示し合わせているのではなく、結果的に協力し合うことになっていて、政府が市民に弾圧を加えれば Al Jazeera と Twitter がそれを実況して追及し、政府が Al Jazeera をブロックすれば市民と Twitter がそれに対して猛抗議をかける、政府が偽アカウントを作ってツイートを始めれば市民とTwitterコミュニティとAl Jazeeraが全力で暴くという具合。今の複雑な時代、元々存在していた「機関」はしがらみやらがあって動けない中、アドホックに友達を伝わって集めたエキスパート達が一番実力を発揮するということがよくある。セレンディピティが重要。

MITメディアラボではテクノロジーがとても重要ではあるけれど、Joiが「あ、ここ素晴らしい」と思ったきっかけは生徒達の多くが技術以外のところに感心をもっているから。彼らの夢はジャーナリストだったり、ミュージシャンだったり、ソーシャルアントレプレナーだったりして、それぞれの夢を実現するためにテクノロジーを使ったり、ティンカリングして何か作ったり、ハックしたりしたいと考えていて、そここそが重要だと言います。ジャーナリスト学校に行くジャーナリスト、ビジネススクールに行くビジネスマン達は、学んだツールを使えると思っている人たち。MITメディアラボに来るようなジャーナリストやビジネスマンは、「現存するツールではやりたいことがやれない」と思っていて、何か作って、やりたいことが実現できるようにしたいという意思を持っている人たち。「権威を疑い、ツールをいじっちゃダメだと思わされているのに対抗して、イノベーションを起こす自由を信じている人」がMITメディアラボには集まっていて、こういう精神をもっとほかのジャーナリスト学校やビジネススクールにも増やしたい、とJoiは語ります。人々は「ソフトウェアは完成したパッケージとして渡されている」と思わされているし、コンピュータを開けちゃいけないと思っているし、電話を開けたら保証されなくなると思っているけど、それは「ブラックボックス」を作ることでビジネスモデルを守ろうとしている人達のロジックで、ポリティカルなこと。もっと人々が良い意味での「ハッキング」をするようになればいい。

かつてのマスメディアの役割は、「人々が知っておくべきこと」を伝えるのが役割だった。しかしマスメディアを運営しているのは営利企業で、売れない新聞、視聴率を取れないテレビ番組を作るわけにはいかないので、「人々が知りたいこと」(もしくは知りたいのではないかとマスメディアが思っていること)を伝えるのにフォーカスがずれてきた。Joiも役員をしている Global Voices では、世界中の人、特にマスメディアのアテンションが得られない人々が自分のことをブログで書いたり、動画で発信したりできるようにしている。例えばコロンビアのスラムの子供が自分達が住んでいるところの実情をビデオブログにして配信したり。人間は知らないことには興味を持たないし、興味がないものについて読もう、知ろう、学ぼうとはしない。ではどうすれば興味を持ってもらえるかと言ったら「つなぐこと」。全然知らなかったコロンビアの子供のことでも、その子のことを知って、動画を見て、関心を持ち始めて、人をつなぎ始める。昔のマスメディアだったら、「アフガニスタン情勢について人々は知っておくべき」という信念に基づいて報道をしていたけれど、視聴率が取れないし人々が興味を持っていないなら今のマスメディアがアフガニスタンについて報道をするとは限らない。(そしてそういう物はたくさんある。事故が起きるまで原子力についてあまり報道されていなかったのもそうでしょう。あと、スポンサーがつくコンテンツだけを報道する場合もあるでしょう。)だからこそ、今はソーシャルメディアで人々が知るべきことをアフガニスタンの人たちが自ら発信して、動画を見てもらったりつながってもらうことで知ってもらうことが重要で、Global Voices ではその場を提供している。つながり方は色々ある。例えばJoiはWorld Of Warcraftというオンラインゲームにはまっていたのだけれど、そこのギルドのフォーラムでシリアについてのニュースリンクを送れば「あれ、それってうちのギルドのあの子がいる国のことじゃね?」とみんなが興味を持ち始める。今の時代、「人と人とのつながり」が、とても重要なのです。

Disclaimerこのブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。