2011年5月19日木曜日

TEDxTokyo 2 - "SOLUTIONS"

TEDxTokyo 1 - "HUMAN COEXISTENCE"の続編です。

さて、第二セクションのテーマは "SOLUTIONS"です。スピーカー/パフォーマーは以下の通りです。また、自分と @nobi さんのtweetを参考に、セッションまとめも追加しておきました。Nobiさん、ありがとうございます!

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マスター・パーカッショニストであるウィンチェスター・ニ・テテさん(@niitete81)は、アフリカ音楽の中で最も難関とされるガーナの伝統的リズムを完璧に叩きこなすことができる数少ない人物の一人。テテさんは、ガーナ国立劇団、早坂紗知氏、原田 芳雄氏、タカシタール氏、久保嶋 直樹氏、旧橋壮氏などと共演し、ジャズ、ヒップホップ、レゲエ、ポップ、ワールドミュージックなどの様々なジャンルの音楽と共奏しており、最近は和太鼓奏者の影山伊作とともに、戦争や内紛などですべてを失った難民を支援する国際難民支援会で演奏しました。テテさんはケプランゴ、トーキングドラムや他のガーナ楽器の達人として、伝説的な叔父のオーボ・アディ氏とアジャ・アディ氏の後継者として、国際的に賞賛を受けている若いスター です。



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天外 伺朗さんは「ホロトロピック・ネットワーク」の代表として、病気とその治療を意識の成長と発展の一部として扱い、生まれる前から死ぬまで健康で幸福な人生が送れるように支援しています。かつては土井利忠の名前でソニーの執行役員を務め、コンパクトディスクなどの開発を率いた後、ソニー・デジタルクリーチャーラボを運営して、独自の犬型ロボットの AIBO や踊れるヒューマノイド QRIO を開発しました。「意識は科学で解き明かせるか」など多くの科学・技術、人事マネジメントとスピリチュアル関連の著作があります。

モントレーの TED に行ったときに、天外さんがハマっていたチクセント ミハイさんがスピーカーでした。ミハイさんが唱える「フロー理論」によると、我を忘れて何かに夢中になった状態に入ると、なんでもうまく行き始める。何か壁にぶつかっても乗り越えていける。会いたい人にも会える。共時性も起きる。SONYではそれを「燃える集団」と呼んでいました。CD、NEWS、AIBO の開発時に燃える集団状態に入り、運がよくなっていった。そこで「フローに入ると運がよくなる」とミハイさんに言わせたくて食事に誘ったが、「自分は学者なので合理的に説明できないことは言えない」という。ただ、実はそのときの TED でのミハイさんの講演は、偶然SONYの設立趣意書で始まり、彼のフロー経営の手本はSONYだったそうです。手本だったはずのそのSONYは、アメリカの合理性経営を真似て失敗。その間、アメリカの経営者はSONYから学んだフロー経営。

天外塾にサッカーの岡田監督が来たことがあります。岡田監督はフロー経営の反対の「管理型経営」の人だったが、これは違うと考えてフロー経営の6回の講習を受けにきて優等生だったそうです。選手を徹底的に信頼して自主性に任せると選手がノっていき、うまくいく。おかげでワールドカップ後は天外塾に取材が殺到しました。



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近藤正晃ジェームスさん(@jameskondo)は現在 Twitter Japan のカントリーマネージャーを勤め、3月11日の震災などの自然災害に巻き込まれてしまった人々のライフラインツールとして、連絡を取り合ったり重要なリアルタイムの情報を得たり、問題への対処法を探すのを助けたいと考えています。マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントを15年経験し、東京大学の教員を6年間勤め、総理大臣官邸のスタッフに任用された近藤さんは日本医療政策機構の共同設立者で、ダボスのYGL (Forum of Young Global Leaders)のメンバーでもあります。共同創業した "Table for Two" では食料、飢餓や肥満についての世界的議論を巻き起こしました。最近は自然災害による孤児を支援する基金も共同設立しています。

TEDxTokyoでの講演は「Twitter in 東北」。緊急時のライフラインは何を思い浮かべますか?Twitterは地震の前は3,000ツイート/分だったのが1万ツイート/分に。仙台で危機的な状況の時に、九州の人が緊急なヘルプが必要な人のためのハッシュタグをつくり、情報が広まり、実際に救出された人もいます。

1.愛する人々と声がつながる 2.緊急性を要するリアルタイム情報を得られる3.問題をみつけ、そこに解決策を提示できる。それこそがライフライン =Twitter



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渡邊 奈々さんは、写真家として資生堂、ソニーミュージック、パリのVogueなどの著名ブランドの写真を撮影し、東京、ニューヨーク、上海、ベルリンなどで個展を開いてきました。2000 年には、米国や欧州の社会起業家についての研究を始め 、 著作「 チェンジメーカー~ 社 会起業家が世の中を変える 」は、慶応義塾大学の「 ソーシャルイノベーション概論」のテキストの1つに選ばれました。また、市民団体のアショカ財団が推進するユース・ベンチャー・プログラムの一環として、現地若者からアイディアを募り、震災後の 復興に役立つ建設的なソーシャルビジネスとして実現化する支援を行う”Youth Move Japan Forward”を立ち上げました。

今の日本の10代は統計的にみて疲れていて、夢がなく、絶望している子が多い、と語ります。これは日本の失敗を許さない文化も一因。シリコンバレーでは成功した人は平均で2回は失敗しています。我々は「成功」を再定義する必要があります。我々は若い世代をchangemakers -変化をもたらす未来のリーダーになるように支援していかないといけません。



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マサチューセッツ工科大学(MIT)教授でメディアラボ副所長を勤める、石井 裕教授(@ishii_mit)は、人、デジタル情報、物理的な物の間のシームレスなインタフェースデザインの研究をしています。MITタンジブルメディアラボでは、コンピューターユーザーが最もよく目にするインターフェースであるGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を超える、 TUI(タンジブル・ユーザー・インターフェース)をデザインする研究に取り組んでいます。例えば、都市計画ワークベンチでは、建築物のモデルを手で直接操作することで、建築物による影や光の反射、建造物の周辺気流の変化などをシミュレートしテーブルの上に表示し、都市設計のプロセスを支援します。石井教授とチームメンバーは、“タンジブル・ ビット”のビジョンを、大学などの教育現場や工業デザイン、芸術などの世界に提唱しています。

TEDxTokyo での講演テーマは「The Last Farewell」 。311、地震、津波、原発問題がもたらした「危機」。でも、ネット上は情報過多で混乱していました。この情報をどう整理するか。情報をマッピングするサイトが色々出てきました。sinsai.info の例。 Google Crisis Responseではクラウドソーシングで避難所にある避難者の情報を携帯カメラで撮って、Picasa にアップして、検索可能になるようにユーザーがみんなで書き起こしをしました。pachube.communityでは日本中のガイガーカウンター情報を集めて整理。石井先生はEvernoteの容量1GBでは足りないくらいの情報を集めたそうです。311はResilient World を作ることの重要さを教えてくれました。集合知の重要性も増しています。

宮沢賢治さんは東北の出身で、石井先生は宮沢賢治botの流す数文字のツイートを見ながらその意味を読み解こうと考えるそうです。物事には必ず意味がある。また、花巻の宮沢賢治博物館で黄ばんだ原稿の書き込みや痕跡を見ながら、アートは最終作品だけではなく、その過程も含めてアート/表現なのではないかと考えました。石井先生のお母様に捧ぐmusic Bottlesの紹介。醤油瓶をもつだけで香りのメッセージが送られる。テクノロジーは難しいインターフェースをユーザーに覚えさせるのではなく、簡単なインターフェースで誰にでも使えるようにするべきではないのか。

我々は誰でも死んでいく運命にありますが、未来ー例えば2200年の人々に何を残すか、どう認識してもらうかを考えましょう。

石井先生の講演スライドはこちら。18分では物足りないという方は Smile Experience Design 2011 での 90分の講演動画をみっちりお楽しみください。



GEW kick off eventでの講演動画
NECでの講演動画
KKE vision での講演動画

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中村俊裕さん(@kopernik_jp)が立ち上げたNGO“Kopernik(コペルニク)”は、シンプルだけど社会問題を解決していくテクノロジーを、オンラインマーケットプレイスを通じて提供する団体です。例えば 発展途上国の女性が頭に重い水を乗せて運んでいたのを解決する為の「ドラム回転型ポリタンク」“Q-Drum”のように、技術自体はシンプルであっても、人々の生活を変えてしまうような技術です。中村さんは、10年にわたる国連でのキャリアにおいて、国家体制改革や和平プロセス、インドネシアのアチェやジョクジャカルタの被災後における再建などを経験されています。国連以前は、京都大学法学部卒業後、ロンドン経済政治学院における大学院修士号を取得、マッキンゼー&カンパニーのマネジメントコンサルタントでした。

テーマは"Igniting Creativity"。日本のイノベーションはこれまで間違ったものにフォーカスしてきた-例えば音が鳴るトイレ、インターネット冷蔵庫、必要以上に高画質なスマートフォンなど。それらは我々の生活を豊かにしたのでしょうか?今、日本は何が本当に大事なのかを見直して再出発するいい機会を迎えている、と中村さんは語ります。

これまでも先進国のイノベーションは、発展途上国の人々を救うことができませんでした。そこで Kopernik という発展途上国の問題と他の国の解決策をつなぐ事業を始めました。そうして発展途上国に日本などから提供され、定着した解決策のいくつかが、311に襲われた日本を救うことになりました。Kopernik では人々を発展途上国に送り込み、どんな問題があるか、それをどうやったら最もシンプルに解決できるか現地で考えさせるようにしてきました。一例が子供達の遊び道具でもあり発電もできるスクーターです。



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この後TED Talkとしてアップされた動画アリアナ・ハフィントンの「成功の鍵とは? もっと睡眠をとりましょう」 を視聴する予定でしたがスキップされました。

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昨今ではプラスチックはゴミ収集車をあふれさせ、高く積み上げられて島を覆い、野生動物を殺し、 食物連鎖を破壊している生態学的な悪夢となっています。そんなプラスチックを油に変える油化装置を発明したのが株式会社ブレストの代表取締役である伊東昭典さん。石油資源の少ない日本において、ゴミとなったプラスチックが資源となるのです。1 kgのプラスチックを1lの石油に変えることができ、発電機、ストーブ、車、バイクに使うことのできるガソリンやディーゼル、 灯油に精製することができます。ブレストの油化装置はプラスチックを燃やさずに熱するため、毒性の汚染物質を排出しません。この油化装置はマーシャル諸島共和国、米国、カナダ、インド、ギリシャ、韓国、クウェートを含む海外の80以上の購入者に販売されています。

TEDxTokyo での講演ももちろんこの油化装置について。世界中のゴミ捨て場は同じ風景で、ブラスチックで溢れています。これを燃やすと、CO2が発生して厄介です。世界では年間1億トンのプラスチックが作られていますが、伊東さんの技術を使えばそれらのプラスチックを油に戻せると言います。1Kgから1リットルの油ができます。プラスチックのゴミの山が、大きな油田になりえるのです。

今回の大震災で、被災地は何もなくなってしまいました。でも、被災地にもプラスチックのゴミの山があります。伊東さん達が作った誰でも使える油化装置を使えば、「廃プラスチックは未来の油田」となりえるのです。



油化装置の紹介動画をご覧下さい。



関連記事はこちら"Plastic to Oil Fantastic"

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マグナス•ジョンソンさんはデジタルカルチャー分野で世界的に有名な方で、アーティスト、デザイナー、技術者、科学者、哲学者、事業家たちとともに、応用研究分野での芸術、デザインと情報通信技術の交わりを10年以上も探求した結果、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、パリのポンピドゥーセンター、ロンドンのインスティチュート・オブ・コンテンポラリーアート(ICA)などで、異彩をはなつ芸術展を行っています。また、スウェーデンのインタラクティブインスティチュートに2000年に参加し、2005年にはスタジオディレクターになりました。最近は、海洋研究に力を入れており、最新の調査機器を積み込んだ、クラウドソース形式でたくさんの船によるコラボラティブな海洋研究とデータ収集を行い、海洋保護の大切さを広めています。

マグナスさんは、チェルノブイリで科学に目覚めました。チェルノブイリと今回の福島の件が違うのは、放射能の議論が科学的単位を使って語られていること。でも、数字と単位はたくさん出ているけど、どういうことなのか意味がわからない。科学者が行動しろというまで、何もするなという流れだが、それではだめ。一人一人がもっと関わっていくことが重要。

Virtual Autopsy(バーチャル剖検)。医療データなどをタッチ操作で好きな角度からみて分析することができ、発光することで、電気が通ってることが見ただけでわかるコード。こうしたデザインの工夫で理解は変わると言います。

※なお、マグナスさんの動画は編集が必要なのでまだアップされておりません。アップされ次第掲載させて頂きます。(ちなみにこれ以外の全ての動画はアップされています)

続きはこちら:
TEDxTokyo 3 - "LIFE OF PURPOSE"
TEDxTokyo 4 - "FORWARD THINKING"


Disclaimerこのブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。