2011年5月16日月曜日

インターネットはあなたの子供

昨日参加したTEDx Silicon Valleyは、テーマが "Living by Numbers" だったので、データを取得したり、センサーを使ったり、データを分析したり、データを使ったアートが披露されたりとありとあらゆる角度で数字やデータをテーマにした様々なセッションが行われました。非常に面白かったのでまた別途ブログを書きたいと思いますが、本筋からちょっと外れたことを考えながら聞いていたのでメモを残しておきます。

セッションの一つとして、Tim O’Reillyが ”Towards a Global Brain” というタイトルで講演していました。

TEDx Silicon Valley

あなたが迷子になっても、あなたの携帯電話はあなた以上にあなたの位置情報と地図情報であなたの正確な位置を知っている。先日パソコンを盗まれた人はPreyというパソコンの位置情報をトラッキングするソフトをインストールしてあったので、盗まれたパソコンが自分の位置情報を「NYにいる」と通知し、NYにいる友人がバーで泥棒を捕まえて取り返してくれたそうです。世界中に色々なセンサーがつけられて、色々なデータが取れるようになり、世の中はますますネットワーク化されていき、世界中のセンサーが自分の「目」の代わりになっていくと、グローバルな脳のような物ができていきます。この、グローバルな脳に何を教えるのか、どう育てるのかは私たちにかかっています

お子さんをお持ちの親御さんは自分が何を教えるか/どう躾けるかによってお子さんがどんな人間に育つかが決まってしまうことをよくご存知だと思います。パッションをもって、イノベーティブに/オープンに育てていかないといけない。でも、モラルもちゃんと教えないといけない。でも、手綱を引きすぎて子供をしめつけすぎては、子供はのびのびと成長していかない。(例えば政府が過剰なネット規制をしては、イノベーションは生まれないでしょう)。グローバルな脳に、我々は何を教えるべきなのか。

ただ、このモラル/倫理/正義という話は実は難しい。もう一つ TEDx SVのセッションでのDamon Horowitzの講演をご紹介。

TEDx Silicon Valley

彼はこんな例を挙げていました。私があなたが悪いことをしていると思ったからとあなたのスマートフォンを取り上げたらどう思いますか?自分には所有権があるので勝手に取り上げるなんてとんでもない?でも、もしあなたが実はテロリストとそのスマートフォンで連絡を取っていたとしたら?「あなたが自分の携帯を取り上げられる」という小さな問題と「スマートフォンを使って大きな悪事を働くのを防ぐ」というメリットを考えたらどちらが正しいのか?

今の世の中、センサーをつけてどんどん情報を取ろうという動きになっているけれど、本当にその情報を取ることは正しいことなのか。モラル/倫理/正義の判断があった上で情報が取得されているのか?

「たいていの悪事は、悪意のある人によって行われている物ではなく、あまり考えていない人によるものが多い」とDamonさんは言います。(最近の日本の「想定外」もそうですよね)だからこそ考えることが重要で、考えることは責任を取ることへの第一歩だと語っていました。算数のように簡単に善悪が決まる物ではないので、「モラルフレームワーク」を考えていかないといけない。結局のところ世の中で何が起きるかは我々次第なのだから。

Tim O’Reilly の講演は、”There is only one world. We’d better get it right”「一つしかない世界なのだから、いい世界にしようぜ」でしめられていました。


今までの脈絡を「インターネット」に置き換えてみましょう。インターネットは我々の赤ちゃんみたいな物で、それが「残念」な物になってしまうのか「素晴らしい」物になるのかは我々自身にかかっています。インターネット発でイノベーションが起き、新しいビジネスが産まれていく。インターネットは我々が育てるべき生活インフラだし、我々が育てるべき新しい文化の基だし、我々が育てるべきビジネスの土壌でもある。そしてインターネットに存在するコンテンツは人間が作っているのであって、みんなが自由に新しい面白い物を生み出すのを盛り上げると同時に、モラルも考えていかないといけない。インターネットを住み心地がよい場所にしていかないといけない。インターネットは誰かがどこかで作ってくれる物ではなく、使っている我々、一人一人が作っていく物だから。

TED の Lara Steinも講演しました。彼女は「企業はコントロールの上になりたっているけれど、TEDはradical opennness(極端なオープン性)で成り立っていると語りました。例えば、TEDxという形でTEDブランドのライセンシングを行っていますがTEDxを開催する人と契約書は取り交わしておらず、主催者は32ページに渡るツールキットと20ページのガイドラインを読み、それに沿ってTEDxを開催することになります。こうしたオープン性のおかげで、TEDxはこの2年で約2,000個も開催されています。リスクを取らないとこうした決断はできない。色々な疑問や問題は常にわき上がるわけですが、 Lara はモラルコンパスをきちんと持って活動して乗り越えていくことが大事、と仰っています。

TEDx Silicon Valley

Belinda Galiano は共同創業した Campus Party について講演していたのですが、彼女のスライドの最後の一枚に書いてあった一言:

Internet is not a network of computers
It is a network of people

インターネットはコンピューターのネットワークではなく
人のネットワークである。


TEDx Silicon Valley


Disclaimerこのブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。