2011年4月14日木曜日

TEDxEarthQuake9.0

先日、福岡に行ってきました。目的は、TEDxEarthQuake9.0というカンファレンスに参加すること。TEDとTEDxについては以前こちらにブログ記事を書きました。今までもTEDxTokyoの運営を手伝ってきましたが(今年も 5月21日に開催)今回の地震/津波をきっかけに九州大学で TEDxEarthQuake9.0を開催するということなので、参加することになりました。

私の講演は「災害時に技術者・開発者ができること」というタイトルで、3部構成でお話をさせて頂きました。


1) 災害対策はスピードが大事

3月11日の地震発生2時間後には、民間企業による消息情報サイト(Person Finder) が提供されました。

更に1時間後、震災情報のまとめサイト (Crisis response) が公開され、30分後には震災情報を地図上にマッピングする Sinsai.info のサイトが公開されました。



なぜこんなに速くこれらのサイトを公開することができたかというと、過去の災害から学んでいたからです。ハイチ等の災害で培われた知識を共有し、コードを再利用することで 2-3 時間という速さでサイトを立ち上げることができました。これらが可能になったのも世界中のエンジニア達がネットでつながり、あちらの危機には日本人が助け、こちらの危機では海外から助けてもらいながらスピーディにサイトを立ち上げていくエンジニア達の姿があるからです。なお、ウェブサイトは魔法使いが魔法のように立ち上げてくれる物ではありません。余震が続く中、自分には何ができるだろうと考えた日本の勇気あるエンジニアの皆さんの努力の結果がこれらのサイトなのだと思います。そして、これらのサイトを始めとして多くの有用なウェブサイトが次々に立ち上がり、災害対策に貢献しました。

2) Hack For Japan

そんな中、私がスタッフとして立ち上げから加わってきた "Hack For Japan" というプロジェクトをご紹介。Hack For Japan とは、災害に際して開発者として何か貢献できないかと考えている技術者や、技術力はないがアイディアはあるので何か形にして貢献できないかと考えている非技術者のためのプラットフォーム/コミュニティです。寄付は重要ですが、技術者の皆さんが千円、1万円、10万円寄付してもそれだけの価値にしかならない。でも、10万人100万人とたくさんの人の役に立つサービスを作ればそこにはもっと莫大な価値があると考え、IT 企業の有志一同でこのプロジェクトを始めました。(余談ですが、色々な会社の著名開発者や創業者の皆さんに賛同人に名を連ねて頂いていますが、このプロジェクトは有志の集まりで始めた物です。先に紹介した sinsai.info もそうです。思いを同じくする「個人」が、フットワーク軽く、ボランティアでプロジェクトをどんどん立ち上げていくということが今回各所で見られました。企業名での主語がないと記事が書けない/怪しいと思われる。。。等言われたりもしましたが、個人の力を結集して信念をもって前に進めていくことが重要だと改めて感じています。)

さて、Hack For Japan では具体的には何をしていたのか。

まず、「災害対策のためのアイディアを投稿し、投票できるサイト」を作り、ここには 246 個のアイディアと 5,566 個の投票が行われました。


更に、「大人数でオンラインでブレインストーミングをすることができるサイト」を作りました。ここには 1,290 個のコメントが集まりました。


こうして集まったアイディアやコメントを元に、開発者がプロジェクトを始められるよう、「プロジェクトを誰でも提案して賛同者を募集し、進めることができるような一覧サイト」を作りました。


更に、開発者達がサービスを作りたいと思った時に、サーバ代が払えないとか、よい地図情報サービスが見つからないとかいうことがないよう、競合企業も含めてたくさんの会社のサービス提供をしてもらいました。各社がオープンに考え、コラボレーションをしたことが非常に重要だったと思っています。


オンラインの活動だけではなく、3 月 21 日には京都/福岡/岡山/徳島の各会場でオフラインのハッカソンが行われました。



ちなみにこれらのハッカソンは「やろう」と決めてから実際の開催までがたったの数日。しかも賛同企業に大きな会社が名を連ねていますが、会場手配等は一切我々やっていません。地元の IT コミュニティの皆さんに「こういう主旨のイベントをやりたいのだけれど、助けて!」とメールを書いて、全て手配して頂いた物です。日本の地域 IT コミュニティの皆さんのパワーを感じました。本当に皆さん、ありがとうございました!

さて、こうして活動をしてきたわけですが、Hack For Japanで作っているサービスは本当に使われているのか。必要としている方に、届いているのか?という疑問がわき起こります。現地に行こう、現物にさわろう、現場の人の話を聞こう。そこで、4月上旬に仙台/岩手を訪れてきました。

3) 仙台/岩手訪問

色々なお話を伺った中で非常に顕著だったのが、状況は沿岸部と非沿岸部に二極化しているということ。仙台市内を訪れたのは4月6日でしたが、電気も水も通信も復旧しており、ガスも町の半分ぐらいは復旧済でした。レストランもお店もみんな開いていて、完全に復旧しており、地元の方も「仙台はもう復旧しているので、仕事が欲しいし、観光客にも来てほしい」とのコメント。毎日状況が変わるので、昨日「ガソリンが半日行列しないと買えない」という情報があっても今日は全然並ばずに買える。情報は日々変わっていきます。翻って沿岸部は津波の影響でまだ大変な状況でした。

そんな中、岩手を訪れていた4月7日23:35にマグニチュード7.4の3月11日以来最大の余震に遭遇しました。さっきまであった電気、水、ガスが一瞬にして使えなくなる。お風呂も入れないしトイレも流れない。真っ暗になった町の中、JRの駅の明かりだけが白々と辺りを灯します。

仙台/岩手

電話(通話)は殆どつながらなくなり、携帯のテザリングでネットにつなぎ、震源はどこなのかを確認し、無事だよ連絡を入れる。少なくとも私のシチュエーションではネットは結構役に立ちました。というか、テレビは電気が使えなくなった時点で役に立たない。ラジオはもっていなかった。翌日は車で移動したのでラジオを聞いていました。東北道が通行止めになっていたのですが、そういう道路情報とか、どの学校が今日はお休みになったとか、けがをされた方の状況の話とか、ありとあらゆる情報がラジオで語られていました。ラジオ最強。

さっきまで全部使えたのに、一瞬にして消え去るライフライン。更に、最初の地震でライフラインをなくし、復旧したのに更にまた止まってしまうやるせなさ。私は4月8日に釜石に行く予定だったのですが(結果的には行けなかったのですが)、4月7日にJR釜石線が全線復旧したのでそれに乗ろうかと思っていたんです。その矢先、復旧したその釜石線がその夜に震災にあってたった一日で止まってしまった。復旧にあたっておられた駅員さんの気持ちを考えると涙が止まりませんでした。。。

道路はあちこち割れ、橋は壊れ、土砂崩れに手当が行われていました。

仙台/岩手仙台/岩手仙台/岩手

この日に感じたのは皆さんのたくましさ。マグニチュード7.4/震度6弱の地震の翌日に、小学生がランドセルを背負って学校に出かけていく。

仙台/岩手

水もガスも電気も止まってホテルの朝食はなくて当たり前だと思っていたのに紙皿やらでちゃんと朝食を出してくださった。ありがたいことです。。。

仙台/岩手仙台/岩手

電気が止まっているのでお店がみんな閉まる中、POSレジが動かないのに電卓の手打ちをしながらお店をあけてくれたファミリーマートさん。電気が止まっているのでガソリンスタンドがみんな閉まる中、手回しで給油をするガソリンスタンドのお兄さん。



電気が止まっているので信号もみんな消えているのですが、皆さん安全運転で事故を起こしそうな状況を一度もみませんでした。

仙台/岩手

テクノロジーは、人のためにある。現地に行って、現地の方達の声やニーズを聞き、現地の方の役に立ちたい。私はプログラマーではないけれど、そのために使える物はテクノロジーでも人力でも人脈でも何でも使って、何か力になれればと思いました。

次回のHack For Japanのイベントは5月21日のアイディアソンと22日のハッカソンを宮城県仙台市、福島県会津若松市と東京の3都市で予定しております。前回は余震の影響もあり、西日本を中心に開催しました。今回は、被災地の皆さんにも参加して頂き、ハッカソンを行う予定です。詳細とお申し込みはこちらからご覧下さい。

Disclaimerこのブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。