2011年4月3日日曜日

SXSW Cares (For Japan)


South By Southwest (SXSW) というイベントがあります。元々は 1987 年に音楽フェスティバルとして始まり、1994 年に映像とマルチメディア部門が加わり、1999 年にマルチメディアが Interactive に名称変更しました。 IT 業界で SXSW というと、たいていこの Interactive (SXSWi) を指します。2007 年に Twitter が SXSW に集まるギーク達の注目を集めてブレイクしたり、何かと話題のイベントです。SXSWi は年々大きくなっており、今年はなんと 20,000 人が参加したらしい。会場も 2007 年に参加したときには Austin Convention Center だけだったのが、今年は 10 箇所の会場を使い、同じ時間に 40 個ぐらいのセッションが走っていました。

さて、今年の SXSWi は 3 月 11 日から 15 日に開催されました。日本時間の 3 月 11 日は Austin の 3 月 10 日の夜、開幕前夜にあたります。私は 3 月 10 日の夜 Austin に到着し、夕食を食べに行き、ホテルに帰ってきて仕事をしようとネットをつないだら安否確認の IM が届き始め、何かが日本で起きていることを知りました。東日本大震災でした。その夜は眠れず、タイムラインにはりついて朝を迎えました。SXSWi 初日です。あれだけ楽しみにして来た SXSW なのに、全く心はここにない。でも、タイムラインを読んでいたところで自分は何の役にも立たない。津波の恐ろしい映像が次々と飛び込んでくる。被災者の方はもちろん、東京の皆さんも電車が止まって 3 時間かけて帰宅したりあるいは帰れなかったり、余震に怯えたり。そうした様子をツイートやメールやグループチャットで疑似体験しながら、一体自分はこんな安全なところで何をやっているのだろうという罪悪感に苛まされたり。何かしたいのに何もできずに見守るしかない無力感が途方もない物でした。

SXSWi 開幕時の Hugh Forrest のオープニングは、「世界中のギークの祭典へようこそ」そして日本の被災者向けの支援サイトの告知と寄付の呼びかけから始まりました。ちなみにこのサイト、SXSW の事務局が作ったサイトではありません。参加者のハッカー達が、夜日本で地震があったことを知り、すぐに「何かしよう」と立ち上がり、すぐに寄付のためのサイトを立ち上げてしまったのです。SXSW のオープニングが始まる前にカンファレンス会場に集まって、ロゴを作ったり寄付サイトを立ち上げたり。そのサイトがこちら> http://www.sxsw4japan.org/

私が泣きながらタイムラインを読んでいるしかなかった同じ時間に、同じ場所にいたのにこの人達は一気にみんなで手分けして一夜にして寄付のためのサイトを作ってしまったわけです。ハッカー凄い。個人的には、このとき感じた思いがあって日本に帰ってから Hack For Japan をやることにつながりました。

その時の Twitter でのやりとりの様子を Chirp Story にまとめてあります。 #sxsw4japan と #sxswcares のダブりをはじいてあり、だいたい7,000件ぐらいのツイートがされています。

@thatdrew さんが「何かしよう。 #SXSW4Japan 参加したい人?」と聞くと、「自分と、@anidotmeのメンバー 10 万人引き連れて参加するよ!」(日本のアニメ好き、いっぱいいる!)「SXSWはカオスなので会場外にいる私たちが手伝えることがあれば言って!」と来れなかった人からも支援の声が届き、「日本ファンとして、皆さんの安全をお祈りします」などの声がどんどん集まります。Beacon Lounge が「うちのラウンジを Japan earthquake relief の集会所に使っていいよ」とアジトの名乗りをあげます。そして #sxsw4japan がどんどんバイラルしていく。

そんな中、 @livepath さんが別のハッシュタグ #sxswcares を使って日本の津波の被災者への募金を呼びかけ始めます。こちらはもう最初から「90999 番に SMSして REDCROSS (赤十字)に10ドル寄付しよう!」とガンガン寄付を始めてしまいます。これ、震災の当日のことです。それを見て、いきなり #sxswcares のロゴを作り始める人、それを写真に撮ってツイートする人。(このおかげで他の人達は既にロゴが作られていることがわかるので、他のことに集中できる。でもこのへんは多分みんな知らない人同士。。。)そして http://www.sxsw4japan.org/ のサイトが立ち上がる。4日間で1万ドルの目標。更に www.sxswcares.org のサイトも上がる。「日本に寄付したいと思っている人へ。もう寄付サイトがあるよ」どっちも SXSW が作ったものではなく、みんなが勝手に作って進めた物。そして SXSW だけあってどんどんバイラルしていく。更にSMSで 80888 宛に "Japan" とうつと、Salvation Army 経由で 10 ドル募金されるという Hootsuite 公式アカウントのツイートが募金の勢いに拍車をかけるという Hootsuite 砲、@samsungtweets を入れてツイートしてくれたらSamsungが1ドル寄付するという Samsung 砲による韓国語圏への飛び火。そして #sxsw4japan と #sxswcares が統合。ハッシュタグは両方残り、sxsw4japanがドメインとして残って cares の方はsxsw4japan にリダイレクトし、cares側で作っていたロゴや動画などのコンテンツはそのまま利用。同じ気持ちで始まった活動だからね。"Let's show Japan that we care!"というツイートを何度も何度も見ました。

4日間で1万ドルの募金目標だったのが、一日で1万ドルを突破してしまい、2万→2.5万とどんどん目標額を上げないと寄付のペースが速すぎる件。 最終的には目標が10倍の10万ドルになり、現在更にそれを突破して$106,558がサイト経由で寄付されており、SMS 経由の寄付はこれとは別に赤十字等に寄付されています。

「日本で大変な地震が起きているので募金してください」と言うだけと違って、募金サイトが立ち上がっていて目標金額も決まっていてやり方も書いてあるのですぐに募金できて、更に landing page があるだけでみんながそれをポインターとしてツイートしまくれる。たかが一ページのサイトだけれど、すごい威力を発揮しました。

会場を歩いていると、日本人だとすぐに気づかれて、色々聞かれます。声をかけてきたうちの一人は現地の商工会議所の役員の一人で、話を聞いた翌日には「今週の木曜日にファンドレイジングパーティを開催することにしたわ。資金調達は得意なの。」と教えてくれました。ありがとう。。。

同僚もすごく協力してくれました。きれいに飾られた Google ブースに募金のお願いを貼らせてもらいました。すいません。パワポで1分で作ってビジネスセンターで印刷したお手製のものです。。。



Google 主催のサブイベント "The League of Extraordinary Hackers" では講演中以外はずっと日本への寄付のお願いを掲載してもらっていました。


日本人の皆さんもがんばってました。体をはったメイドコスプレ募金。「写真撮らせて!頑張って!はいこれ募金ね!」


たくさんの募金が集まりました。


井口さん達がお願いして会場内に作ってもらった Help Save Japan ブース。



そして SXSW のオーガナイザーが収益を日本の災害への募金にすると話したとのツイートが。まだサイトには掲載されていないのですが。。。"BREAKING NEWS: #sxsw organizers say ALL proceeds from this years event will go towards japan quake relief and the #icrc. Way to go guys!"

そして SXSW でのこれらの活動について、おびただしい数の記事が書かれています。いくつかは下記に。

Huffington Post - Japan at SXSW: Influence Used for Good
CNET - SXSW responds to Japan disasters
CNN -How to help Japan from SXSW
The Independent -SXSW rallies to Japan disaster relief
AdAge -Global Citizens, Marketers Rely on Social Media After Japanese Quake
NY Times - Japanese Tech Execs Share ‘Save Japan’ Strategies at SXSW

SXSWの皆さんは、会う人会う人、頑張って!とか募金したよ!とか暖かく声をかけてくれました。そして、ハッカー力やソーシャルメディアを駆使して、日本の為にアクションを取ってくれていました。しかもすごいスピードで。。。。皆さん、ありがとうございました。

日本の皆さんにも SXSW Cares (For Japan) だったよ!。。。とお伝えしたくて。

Disclaimerこのブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。