2010年10月31日日曜日

Don DodgeのVCパネル:Google Developer Day 2010 Brazil-1

10/29にブラジルのサンパウロで Google Developer Day 2010 Brazil を開催しました。

一番最後に参加したセッションが VC のセッション。 GDD は世界中で「Android」「Chrome&HTML5」「Cloud」の3つのテーマを統一し、それ以外は内容をどうするか情報交換しながら決めました。色々悩んだ末、日本ではやらないことにした VC セッションですが、幸いにしてブラジルバージョンを見ることができたのでれぽします。

GDD Brazil

なお、英語でやるはずが急遽ポルトガル語になったので通訳用の機器を借りにいっていたため最初の方(特に自己紹介!)が抜けています。

基本的に Don Dodge が司会進行を行い、地元の起業家や VC がパネリストとして登壇するという形式でした。

●起業家の分類と VC がつきあいたいと考えている起業家とは

起業家には2つの種類がいる。これを「ライフスタイル型アントレプレナー」と「ハイインパクト型アントレプレナー」と定義。

ライフスタイル型の起業家は世界を変えようなんて考えていない人。 10 million ドルぐらい稼げれば満足しちゃうような人で 20 billionドル規模の会社を作ろうなんて考えていない。

ハイインパクト型の起業家は世界を変えよう、マーケットを変えよう、革命を起こしてやろうと考えているような人。会社を大きくしよう、何か大きなことを成し遂げようと考えている。後者のようなベンチャーにこそ VC は投資をしようと考えるもの。起業家はそういった適合性を理解しなければならない。重要なのは何か大きな物を作ろうという意思。

(どちらが正しいということではなく、今回のパネルは VC パネルなので、VC から資金を調達するのに適した後者の話になります)

●VC はハイインパクト型の人をどうやって発掘するのか

•なるべく長い間つきあい、理解すること。長い目で見て、時には VC が起業家を育てることも大事。

•起業家がステップアップするという観点も。パネリストの一人は50人の会社で働いていて、その時はインフラをやっていた。そこで学んだことを元に、会社を大きくしたときに起こりうる問題を予測できるようになり、その後自分の会社を興した。

•まずは低いコストで一人で開発を始めて、成功モデルの検証ができてから資本を求めるのが妥当。

●パートナーの探し方

今日参加している人達は殆ど developer で技術よりな人々。いずれ起業するとなったらビジネス/マーケティングに長けた共同創業メンバーを探すことになると思うが、その時のテクニックは?

•パートナーになりうる人はどこにいるかわからない。登壇した起業家のパートナーはたまたま飛行機で隣の席だった人。学生時代の仲間、会社の同僚などあらゆる可能性を考える。重要なのは2点。

1) get the right person (スキルが高い人)
2) get along well (スキルが高いだけではだめ。相性がよい人)

●ブラジル事情

ブラジルでは VC より起業家の方が多い。
VC 側が気に入った会社にコンタクトすることが多い。

●起業家へのメッセージがあればどうぞ

•Do a good job TODAY. 今やっているプロジェクトで、よい仕事をすること。よい仕事をする人こそが注目を集めることができる。

•起業家はもっと投資家について勉強すべき。自分がどんなプロダクトを作るかを考えるのももちろん重要だが、どのような資金 (type of money)とつきあうべきなのかを考えることも重要。

•VCが見ている重要ポイントは 1) スケーラビリティ 2) よいチームか 3) マーケットの大きさ

• 投資家にはそれぞれの投資ポリシーがあるのでそれを理解すること

•自分は何を求めているのか。自分は何をもっているのか。自分は何を成し遂げたいと考えているのかをよく考えること。

•「投資家から見て魅力的に見える」ようにすべき。長々としゃべるのではなく、短くコンパクトに。エレベーターピッチ。長い文章を書いても忙しい投資家には読んでもらえない。短く簡潔に。

•この会場に集まっているのはエンジニアばかりだと思うが、テクノロジーのことだけを考えていてはいけない。どんな問題を解決しようとしているのか。どんなソリューションを提供するのかを考えること。

Q visibilityをあげて投資家に見つけてもらうことも重要だとは思うが、他の会社にコピーされてしまうのではないか?

→アイディアとビジネスは別に考えないといけない。アーリーステージのアイディアはウェブ上でたくさんのノイズが起きるもの。プロジェクトの段階が進んでいくとリスクが高まっていく。

初期の開発段階ではアイディアは公開しない。公開していないアイディアをもって、投資家にコンタクトする。なお、このステージではたいして資金はいらないはずなので、友達や家族、エンジェル投資家のお金で充分。アイディアを公開するのはもっと後の段階で。公開するメリットは先行者利益とプレスカバレッジ。ちなみにこの初期段階では本当にベストな人だけを採用すること。成長段階の会社のカルチャーに影響するので超重要。

アイディアはあくまでコモディティ。重要なのはエクセキューション。アイディアはその有効性が立証されないとコピーはされない。逆にビジネス性が証明された途端あっというまに競争が始まる。

ちなみにアイディアだけじゃなく、「お金もコモディティ」とのこと。

Q仕事を辞めて起業すべきなのか、それとも会社に勤めながら夜や週末に起業準備をすべきなのか?

→初期の検証段階は、会社員をやりながら夜や週末に起業準備をするのもよいだろう。ただし、投資家はパートタイムでやっているような会社には投資しない。VC はハイリスクハイリターン。自分のアイディアを信じているならリスクをとれるはず。起業家自身が信用できないような会社に VC は投資できない。「イケると思った時に戻っておいで」と言われるのがオチ。

明後日は次のイベント DevFest Argentina があるので、これのアルゼンチンバージョンを見ることができるので楽しみです。

なお、アルゼンチンに向かうために空港まで Don Dodge とタクシーを共にしたのですが、その際に「今朝こんなブログ記事を書いて来たよ」と語ってくれたのがこれ。

Will Facebook have an IPO bounce? Has 409A changed the game?

80年代、90年代の IPO 事情と今は何が違うのか。
4年前に施行された409A Valuationによって何が変わったのか。
ストックオプションは影響されるのに VC はなぜ影響されないのか。
などなど。

機会があればこの辺もまたブログに書きたいと思います :)

Google で働く上で面白いことは色々あるのですが、私が所属している部署は Don Dodge とか Tim Bray とか面白い人がたくさんいるので色々勉強になります。いつか Don Dodge をスピーカーとして日本に招聘したいですね :D

Disclaimer

このブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。