2010年4月6日火曜日

BRIDGE2010

こばへんさん・タカヒロさん・コカコーラの江端さん・徳力さんでパネルディスカッションをやると聞いてBRIDGE2010というイベントに行ってきました。それぞれピンでも面白い方達なのですが、今回は企業サイド(コカコーラ)の江端さん・メディアの立場のこばへんさん・元代理店の立場としてのタカヒロさんという立ち位置での配役とのこと。

tsudaるかわりにダカダカ発言メモとってたのでそのまま公開しておきます。


●こばへんさんが自己紹介&ショートプレゼン。

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・プレゼンタイトルは「ポスト・ページ時代の歩き方(フリー時代のメディアハック)」

ちなみに今はまだココ↓

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・誰でもメディア時代

 その分類としては、マスメディア・ミドルメディア(やハブメディア)・パーソナルメディアがある。

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・情報は以下の3つに大別される

 フロー(Twitterなど、電子媒体によるものが多い。)
 ストック(書籍など、紙媒体が多い)
 エコー(これは電子媒体のみの新しい物。検索エンジンが産み出した情報のカタチ。)

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・メディアの資産とは?

 コンテンツはコピーできるがコミュ二ティはコピーできない。コミュニティにこそ価値があり、それを換金化するのがメディアビジネス、というのが本質。メディアの「形状」にとらわれてはいけない。

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メディアに対する期待役割の変化

 今までのメディアは情報を届けて出すところまでだけでよかった。コミュニティが外にあったから。今はコミュニティがメディアに内在するようになったため、メディアはそのコミュニティに何を伝えるかが重要で、情報を出した後にコミュニティが受け取った後の解決方法まで伝えないといけない。

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オープン出版宣言

 出版は出版社だけが行うものではない。新しい出版のプロトコル・換金化手段は多様化している。新しい出版人は旧い出版時代の良心を継承すべき

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・ちなみにこばへさんは今度東大で「雑誌産業論」という講義をやるそうです。


●コカコーラ江端さん

・コカコーラパーク→820万人の登録者。壮健美茶とのコラボ企画やってます。
・テレビ番組「IJP(伊集院パーク)」
 TwitterやUstream連動で、芸人魂も見せる「デジタル&ド根性」な番組。TOKYO MXで4月9日から。Tシャツ作りました。

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・4月14日からコカコーラの新商品とCMとTwitterの連動企画スタート(4月12日プレスリリース予定)


●スケダチのタカヒロさん

・「次世代メディアマーケティング」の監修やりました。

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●司会のAMN徳力さん

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<今までで大きな変化>

徳力さん:コカコーラはメディアでありクライアントであり代理店でもあるという感じでごっちゃになってきた。出版は誰でもできるようになった。境がなくなってきた。

こばへんさん:インターネットのユーザーが増えた→できることも増えた。

江端さん:メールとTCP/IP(元商社マンとしてはテレックス網なしで個人がやりとりできるようになったのが大きい)

タカヒロさん:ハイパーカードとかまで遡る感じだが、テキストも音声も画像も全部一緒くたに扱えて色々なデバイスでつながる、共通のフォーマットになったのが大きな変化。

<これから10年で起きる変化>

江端さん:アナログ技術の導入。

こばへんさん:製造業(食品とか。)オープンソースハードウェア。オープンソースの車とか出てきてる。ネットを使いこなしている人がハードにきてる。

タカヒロさん:10年後は年輩の人もネットを使っていて、デジタルネイティブだらけになる。そうなるとかなり変わると思う。

<これから10年で起きる変化ーそのメリットデメリット>

江端さん:なぜ今ネットにシフトしているかというと、消費者の目がそちらに向いているから。みんながテレビを見ていればテレビで宣伝するし、みんながネットを向いていればネットを使う。今はネットをみんなが見ているけれど、もっと効率がよい媒体が出ればそちらにいく。

こばへんさん:地軸が動いており、プレートは流動的になっている。潤沢化していく物と希少化していく物ができていく。希少な物を見つけて価格をつけていくのがメディアの役目。コミュニケーションや情報は潤沢化している(Twitterとかチャットとか)。今はコモディティになってしまったものに「お金を払え」というのは無理。

タカヒロさん:広告的視点から言うと、インターネットほど参入障壁が低いものはない。YahooもDoubleClickもGoogleも広告代理店出身の人達以外がやっている。レガシーな代理店はインターネットを自分達の世界に取り込みたいと考えているが、それは間違いで自分達の世界「以外」から始まっているということを理解しないといけない。今までは設備投資が必要だったので参入障壁が高かったがそれが低い分、ネットでは代理店依存度は低下。

<今後必要とされる人材→「インタラクティブ」論>

こばへんさん:前田建設ファンタジー営業部の事例。メディア野郎達がやっている。今後はチーフメディアオフィサーが必要。

江端さん:コカコーラパークの運営は、お花屋さんのwebマスターだった人・インターネット事業をやってた人・ECサイトをやってた人。インターネットの技術を知っている人を中心に構成。構築は外部に委託するので構築できる技術力はいらない。戦略的に新しい物を立ち上げることを理解できる人。「インタラクティブマーケティングマネージャー」というタイトル。

タカヒロさん:その「インタラクティブ」という単語が大事。ネットとかデジタルが重要なんじゃない。相手が入り込んできやすい状況をどう作るかが大事。インターネットはインタラクティブになりやすいのは確かだが、「インタラクティブ」を意識しないとダメ。どんなメディアを使っても相手が関わりたくなる要素を作る。コメント欄があることが重要ではなく、コメント欄に書きたくなるにはどうするかが重要。

江端さん:一回作ったら終わりではなく、相手の行動によって変化させていくことがインタラクティブで重要。100個用意しておいてどの手を出すかとか。また、その仕組みをどう用意するか。

こばへんさん:「対話」相手の機微を読むこと。今までのメディアは対話じゃない。対話のふりをしているだけ。フラッシュでバーン、ボタンを押したらぼよよーんと動くのがインタラクティブだと思っている代理店の人はまだ多い。

タカヒロさん:PCを額縁としかとらえられずその中で完結する人がいて、「ボタンを押したらぼよよーん」なんかは正に額縁パターン。前のめりになるものをどう作るかがインタラクティブ性では重要。

徳力さん:画面の向こうに人がいると考えられるか。ソーシャルメディアだから「メディアだ」と思われ、コメントが来るから怖いとか言ってるけど、そもそも学校・職場・お茶の間では常に起きていたこと。同じことなんだけどネットだと「メディア」として見られちゃう。

タカヒロさん:AOL-TVは昔からあった。テレビ画面にチャット画面を写す。そういうものがもう一度出てきてもよいのでは。他にもSMS meets TV(送ったSMSメッセージをテレビに表示)というのがあって、ビジネスモデル的には通信事業者とテレビ会社がレベニューシェア。そういう古いものがもう一度来ると思う。

こばへんさん:インターネットでは、既に色々な会社が色々な実験を何度もやってきている。SNSも90年代後半からあったし、Twitter的なものもあった。そういう意味では、今失敗しているものがまた出てきて、次の台風になる可能性がある(セカンドライフとか)。

まだ出てきていないのは「エージェント」。自分の嗜好を元にエージェントが色々集めてくるようなサービス。

江端さん:商社には冬の時代があった(メーカーが自力で海外に出て行き、商社不要説が流れた)。しかし今商社が復活して就職市場で人気なのは資源開発や流通末端(コンビニとか)等川上・川下に進出したから。自分が持っているリソースを結びつけて、エコシステムを作っていくのが重要。価値創造があれば対価は払われる。「自分の事業ドメインはここ」と凝り固まってしまうとジリ貧になる。今まで遠かったものが技術の発展で近くなっているので、広げていける。

<産業は縮小しているのか>

徳力さん:ネット側にいると、全ての産業が縮小していくイメージをもつ。デフレだし。実はGoogle等の登場で増えているのか、そもそもシュリンクしているのか。

こばへんさん:従来は、企業で、集団でやるのがコストが安かった。今は企業でやるよりネットで出会った仲間とやった方がコスト効率がいい。夫婦で月商1000万円稼いでいる人もいる。幸せの価値観も変わってきており、会社に勤めることが幸せでもない。多様性が広がっている。

タカヒロさん:広告産業の種類は増えるが、レガシーな広告産業はシュリンクせざるを得ない。例えばテレビはマスをターゲットとしているが、マスをターゲットにする商品がなければ、マスターゲティングもマスメディアも不要になる。クライアント企業は商品開発の段階でマス向けかを自問自答する。逆にテレビ側は売り方を変えないとダメ。企業が売りたいターゲットとのマッチングができていないが、そこを改善する余地はある。

江端さん:メディア企業はコンテンツクリエイターとしての側面からキャピタライズする方法もあるのでは。映画産業は映画だけでなくテレビやDVDにしてキャピタライズしてきた。商品を派生させてライセンスビジネスをやるという手はある。重要なのはみんなが見たい・聞きたい・読みたいと思うものを作ること。

こばへんさん:クリエイティビティが足りない。装置産業になっていて、いるだけでお金をもらえると思っちゃってる。市場創出するという根本に戻るべき。メディアにはクリエイティビティがある人たちがいるべきなのに、それがいない。例えばダイソンは掃除機なんて進化しないと思われていたけれど、進化させた。そういうクリエイティビティが必要。

江端さん:テレビと携帯のパッケージとかなぜ出てこないのかなと思う。

<お国柄>

徳力さん:日本ならではの事例は?ブログもTwitterも海外から来た。でも利用者層や使い方は日本に来て変化しているのでは。

タカヒロさん:メディアは国別に違う。その違いを理解して、日本風にどうアレンジするかを考えられればそれでいい。Google時代にYouTubeのブラジルチームと話したが、ブラジルではYouTubeは高額所得者向けターゲティングメディアだと聞いて驚いた。インターネットの利用料が高いので、それを使えるのはそもそも高額所得者。テレビは貧乏人のメディアだと思われている。

日本では、「イギリスでインターネット広告費がテレビを越えた」と騒いでるけど、そもそもイギリスではテレビの広告費がとても安いという前提を知って話すべきこと。まずは外で何が起きているかをもっと知った方がいい

こばへんさん:雑誌状況も各国で異なる。国によってプロトコルが違う。日本は言語のバリアがすごくて、イントラネットっぽくなってる。

インドのボリウッドは、世界中に散らばるインド人マーケットなので、商圏の大きさではハリウッドに次いで世界で二位。

日本のメディアも中東のメディア「アルジャジーラ」が英語圏に進出したみたいに、頑張ればいいのに。

江端さん:日本人は要求レベルが高い。電車も時間通りだし。サービスのレベルを向上するためのマーケットとして機能する。

海外で携帯の定額制が進めば、日本の企業が海外でもっと活躍できるのでは。

<Q&Aタイム>

質問:もし3人で会社を作るなら何を?

こばへんさん:他の業界をハックする
タカヒロさん:「これとこれをつなぐと面白い」をつなぎまくるサービス
江端さん:後ろに大金持ちがいればVCができる
こばへんさん:投資した上でどんどん入ってやっていく

質問:日本をもっと面白くするにどうしたらいいか。応援メッセージ。

江端さん:何でもやってみること。Twitterとかもやってみて、嫌ならやめればいい。やってみないとわからない。よかったら続ければいい。いやならやめればいい。詳しい人を見つけたら聞けばいい。体験するかしないかでは全然違う。何でもやってみること

こばへんさん:アメリカではトライしてみて討ち死にしている人が多い。Googleの前にAltavista等たくさんの検索エンジンが作られ、たくさんの人たちが討ち死にしている。日本人は失敗やキャリアを気にするが、そういうものを許容する社会になればと思う。若いうちに(いや若くなくても)どんどん失敗しよう。

タカヒロさん:日本の広告業界の人材の流動性を上げるべき。日本の広告業界の人は、転職するのを怖がる人が多く、人材の流動性が低い。他の広告会社や、他のメディアを知っておくべき。

翻訳が出てから本を読むのをやめて、原著で読むこと。コトラーがmarketing3.0を出すが、翻訳を待っていると半年遅れちゃう。革命の時代はみんな海外の本を読んで勉強してた。日本語で読むと、日本語の言葉が印象に残る。英語で読むと、解釈として残り、脳みそも活性化される。


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ショートプレゼン1)ad tech tokyo

Ad tech tokyo 2010は10月28・29日開催。6月に事前無料受付開始&カンファレンスパス発売開始。6月末からスピーカーの公募・推薦開始とのこと。


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ショートプレゼン2)ADK大橋さん(@ohasat)ARG(Alternate Reality Game)について

ARGについては去年のコンテンツ学会のときに結構ヘビーにブログしてます。
Fumi's Blogコンテンツ学会#2「代替現実ゲームと消費者エンゲージメント」

・ARGといっても色々ある。

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・時代の背景- 広告からコミュニケーションへ。

interruptionとcontrolを元にreachとfrequencyを求めるのが広告

invitationとco-creationを元にengagementを求めるのがコミュニケーション

・人間の脳とは、現実感覚のシャッフルを求めるもの。現実と物語の境界がないものを求める。リアルとバーチャルを混ぜていく。複数の証拠に触れていくうちに、人は信じてしまう。

→ARGでは様々な場所に証拠をばらまき、リアリティを強化していく。星空に星が無分別にある中から星座を見出していくように、ARGでは数々の証拠の中からプレイヤー達がストーリーを見出していくゲーム。

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・ARGの特徴のひとつがHIVEカルチャー。人は集まりたい・貢献したいという意識を持っているのに訴える。
・もうひとつがTRAIL(追跡)。Lostや24等のドラマのように、先が知りたい・目が話せないとプレイヤー達が没入していく。しかも「時間変化」という不可逆性が没入感を加速していく。


・慶応と「ARGコンソーシアム」を作り、「RYOMA the secret」という作品を作った。

パペットマスター側の作ったコンテンツ→ニュース・ホームページ・ブログ等

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ARGはプレイヤー側もコンテンツを作っていくのが特徴だが、今回も後から参加人たちがわかりやすく参加できるようにユーザー達がタイムラインやマインドマップ、写真や動画等を作っていった。暗号解きの時は、プレイヤー達が深夜まで没入していた。

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ARGでは参加したい・やり遂げたい等の本能がエンゲージメントを作っていく。

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RYOMA the secretの参加者は3万人、アクティブプレイヤー4千人、ヘビープレイヤー300人と一応成功だが、アメリカだと100万人単位なのでまだまだの世界。

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「シミュレーションは真実と嘘をなし崩しにする」
「記憶の力の方が経験の力よりも強い」


感想:アメリカとかフランスとかの海外のARGだとフィクションだと伝えずにその人たちが現実に存在するかのように始めたり進めたりして完全に嘘と真実を混ぜてしまうのだけれど、日本人は真面目だからなあ。。。エイプリルフールの「ニコニコ動画黒字化」で株価が上がって風説の流布とか言われちゃうくらいだし。RYOMA the secretの時なんて、あらかじめ「これはゲームです」とか宣言しちゃってプレスリリース打ってから始めているので、プレイヤー達には本当かもしれないというドキドキ感はないはず。SXSW2007でLonelyGirlの仕掛け人がどうやって嘘のキャラクターを仕込んで、ブレイクさせていったかについて堂々とネタばれするセッションがあって面白かったんだけど、日本だと「やらせ」とか言われちゃうだろうなあと思いました。どこまでがフィクションでどこまでをエンターテインメントとして許容できるか、楽しめるか(嘘を嘘とry)が益々問われるなあと思います。何にせよ、日本ではこれからのジャンルです。

今回は主催の本庄さんとパネルのタカヒロさんが和服姿でした。

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CNet記事:ネット時代のメディアやマーケティング、必要なのは「インタラクティブ」--BRIDGE 2010