2010年3月13日土曜日

津田さんによる角川歴彦さんのインタビュー記事が面白い件

角川グループホールディングスの代表取締役会長兼CEOである角川歴彦さんが「クラウド時代と<クール革命>」という書籍を上梓されたのをきっかけに、ITジャーナリストの津田大介さんが角川さんへのインタビューを行っておられて、面白い。名言続出。

記事自体を読んで頂きたいのであまり抜粋しませんが好きな言葉だけ。ちょっとだけ。

角川会長が語る「クラウド時代と<クール革命>」(前編)


"著名な作家とお付き合いするのではなく、コミケみたいなところから新しい文化が生まれてくる。"

数々の出版社がコミケのパロディ物を「著作権侵害だ」「グレーだけど黙認」とする中、角川会長は昔からコミケをクリエイティビティの源泉として認めてくれていた。更に、

"YouTubeが「新しいコミケになる」と思った途端に、これをお手本とすべきだと思ったんだよね。"

角川会長も最初YouTubeにハルヒとかが全部アップされたものを見たときは、うわっと思ったそうなのですが、YouTubeのファンサブで海外の言語に翻訳されることで、オフィシャルにDVDを売り出したときに販売促進なしにめちゃめちゃ売れるという結果に結びついたという現象も理解。最近の角川YouTubeチャネルではIPを見て国によってはガンダムなどの人気アニメを無料配信する等もしている。日本からも期間限定で「トップをねらえ!」の全話がYouTubeで無料配信されたりしていた。

また、MADが出てきたときも「これはコミケと同じだな」ということで、「愛のあるMADは認める」「作者が嫌がるMADはダメ」「MADを公式化する」「MAD動画に広告を入れることで、収益につなげる」「MADを作るよいクリエイターがいたら、逆にそのクリエイターを正式登用してみるのはどうか」とめちゃめちゃ前向きなアプローチをしてきた。

2008年8月に札幌でiCommons Summitというイベントをやったときに、角川会長にお願いしてわざわざ札幌までお越し頂いた際の講演が非常によく記憶に残っている。


 「作家が嫌がるMAD(二次創作動画)は排除するが、作品への敬意があるMADは認めていく。キーワードは『愛』。コンテンツに対する尊敬があれば、我々はそのMADを認める」

そのときの貴重な講演動画はこちら。(カメラワークがひどくてすみません。でも内容はわかるはず!)





しかし今はAmazon、Apple、Googleといった海外企業にプラットフォームを押さえられている。

 僕の問題意識は、健全なコンペティター(競争相手)を育ててほしいってこと。一社総取りで残りはすべて敗者っていう環境じゃ不健全。お互いが競争する中で、次への発展につながる環境が作られる。そういう面で日本企業が良いプラットフォームを作ることを国策として支援していいんじゃないかと僕は思ってる。

ASCII記事ではニコニコ動画にも触れて、

川上くん(ドワンゴ会長の川上量生氏)はひとつの才能だよ。日本が誇るべき人物だと思ってるんだよね。彼が持っているある種のラジカルさと真っ当さが、僕から見るとかわいいんだけど。ニコニコ動画も日本におけるYouTubeとして認めていこうと思ってる。

先日の情報処理学会のプログラム「CGMの現在と未来」でもYAMAHAの剣持さんが「日本のコンテンツはガラパゴスで結構」とおっしゃっていて思わず会場で拍手しそうになっちゃったのですが、インタビューで角川会長も全く同じことを仰っています。

コンテンツは「ガラパゴス」でいいんだよね。日本のコンテンツは偉大なるグローバル・ニッチなわけだよ。グローバル・ニッチであることによって、日本のコンテンツは尊敬されるようになるわけだから。ニッチじゃなくなったらいけないと思うんだよね。

さて2008年のiSummitについてのCNet記事続き:

 「2010年には(ネット時代に合った)新しい著作権制度があっていい。ユーザーと権利者の相互調和が取れた、産業振興につながる法律を作りたい」(角川氏)と意気込んだ。

と語られました。そんな2010年に、今は突入しているのです。そしてまさにその2010年の、津田さんのインタビューでは:

僕が言いたいのは、新しい時代に合わせた法律にしたほうがいいよってこと。

著作権法では、他人の著作物を勝手にアップロードするのはもともと罪だった。それが先の改正で、違反してることを知りながらダウンロードすることは罪ではないけど違法ですよと変わった。これって「ネット法」なんだよね。「ネット法」をぶち上げたときは、結構ひんしゅくを買ったんだけど、やったことで法律本体が変わってきてる。

でも最初お話したように、現在の法律はもともと有体物のコピーのために作ったものだから、今の時代に合わせようとするとどこかで無理が出てくるわけだよ。

法律はわかりにくい。著作権法もわかりにくい。わかりにくくしておかないと専門家の中には仕事が奪われてしまうのではないかと憂う人もいるらしい。それに対して角川さんは一言:

 著作権法は誰でも分からなきゃいけないんです。なぜなら今や「一億総クリエイター」の時代だから。みんなが著作権を持てるようになったんだから。

その他イベントでUstream/Twitterのパワーを感じたときのお話とか、とにかく色々な意味で面白い記事なのでみんな読むといいと思います!

角川会長が語る「クラウド時代と<クール革命>」(前編)




しかし最近私は日本を「グレーの王国」と名づけたくなっています。

先日の著作権法改正で検索エンジンは合法化されたけど、先日までは国内の全ての検索エンジンは違法だけど黙認されている「グレー」状態だった。

コミケはたくさんのクリエイターを生み、そして彼らは大手に引き抜かれてデビューしたりしているので出版社も黙認しているだけだけど、いわゆる「グレー」状態で巨大な市場を作り出している。

ダウンロード違法化も実施されたけど、「違法だけど罰則なし」ということで、グレーか黒かといったら黒なんだけど、グレーと同じ処し方。

早くこの国にフェアユースを!


おまけ:
角川会長はレッシグの本を全部読んでいるほどのレッシグファンで、クリエイティブ・コモンズについてもとてもよく勉強されており、レッシグとツーショットお撮りしましょうか?と声をおかけしたらめちゃめちゃ嬉しそうでした :D


Larry and Kadokawa-san