2010年2月5日金曜日

中国におけるアニメーションビジネスの潮流れぽー4 

パネルディスカッション「中国におけるアニメーションビジネス戦略」
     モデレータ: (株)シンク 代表取締役社長 森祐治さん
     パネリスト:
     マッドハウス北京 総経理 小原和夫さん
     慈文影視制作有限公司 国内区域発行主管 潘姍さん
     A Go Go Corporation President&CEO Steven Chingさん
     浙江大学 コンテンツビジネス研究センター 副センター長 夏瑛さん

chinese animation business


小原さん:
チベット犬の原作が面白い。日本とコラボを増やしたいという意向。
→チベット犬のゼネラルプロデューサーとなる丸山さんがチベット大好き/犬も大好きで是非やろうと。

2007年契約、2008年マッドハウス北京立ち上げ。2008年に許可証が取れた。チベット騒動もあり、全ての少数民族関連の許可証が降りなくなっている中、超例外。

•制作拠点の立ち上げ。外資はプロダクション機能を持てないので、マッドハウスの出資はなし。网尚グループと業務提携し1億元(約13億円)で設立。フル機能プロダクションにしていき、作品を世界市場に出す。中国ナンバーワンクオリティの作品を作っていく。

1)合作ではなく、「中国の国産の作品」を作る。
中国の作品として年内に2つのTVシリーズ。映画を企画から製作までもっていく。チベット犬を完成させる。→この3つを同時進行というのは日本のペースから考えると無謀だが、日本の安全ペースでは中国では立ち行かない。無理だと思われるようなペース=中国のペース

2)クオリティが高い物を製作し、日本で放映する。

日本のアニメ業界は困難な状態。
放送枠の減少/制作コストの低減/DVDの売り上げ減少など要因は色々あるが、何よりもメディアの転換期であると思う。

自分は映画の衰退とテレビの隆盛を見てきた。今後の配信はテレビではなくモバイルが中心になると思う。→日中で新しいモバイル向けアニメコンテンツの実験を行い、ビジネススキームを作りたい。

アニメはビジネス。(趣味ではない。収益を上げることが大事。)

AVATARは1/29に1520万元、土日を挟んで1億5000万元(約1.5億円)の興行収入。今は6億5000万元ぐらいではないか。

対するコナンは500万元と低迷。ドラえもんも2500万元。

潘さん:

シーアイアンのチケットは3日で4360万元売れた。前作(シーアイアンは2作目)は1億人民元を超えている。

中国政府(広電総局)は外資協力を奨励しており、ストーリーに問題がなければ大丈夫。

アニメの共同制作→三国志演義
中国が背景であること、日本のテレビでの放映が前提だったことがポイント。

2005年のテニスの王子様以降日本のテレビアニメ作品が入ってこないのは、国産アニメの保護政策によるもの。(ゴールデンアワーに流せない→深夜もしくは昼間。ゴールデンアワーには国産アニメが流される)

中国のアニメ市場はまだ発展途上。

2004年に国産で西遊記制作に着手。計画では2年前に放送している予定だったが高品質アニメの制作に苦戦し、まだ52話中26話しかできていない。

問題:
制作費が高い(52話での投資は50万人民元ぐらい)
購入価格が低い(1分80−150人民元)
→回収できない

上海や浙江省でも交渉したが一分数十元と安く、折り合いがつかない

中国ではアニメチャネルは広告価値がないとされる

作品の価格が安くなる

制作費が出ない

クオリティが上がらない
。。。。と悪循環になっており、幼稚でレベルの低いアニメが作られている。


西遊記では1分600−800人民元という前代未聞の価格を要求し、本当によい物は高いと理解させたい

中国政府は国産アニメに対する奨励策を行っている。
衛星チャンネルで放映される→奨励金を受け取れる
小さな制作会社達は奨励金を元手にフラッシュレベルのアニメを制作。。。レベルが上がらない。

関連グッズや音響版権→海賊版がひどい。
作品が輸入されなくても子供達はネットで日本のアニメ作品を見ている。

中国にはアニメの制作者はたくさんいる。
日本のアニメは産業が発展しているので、そういった運営方法やノウハウを教えてほしい。

森さん:
中国では支援金を元手に自転車操業の制作が行われており、安かろう悪かろうがわかって作られている。文化部はそこもわかっていて、脱出したいと思っており、海外のスキルを得るために合作をやらせたいと考えている。しかし、日本のアニメの作り方は手塚さん以来の暗黙知で伝えるのも難しい。

Stevenさんへ質問→トラディショナル2Dとデジタル2Dの違い

Stevenさん:
トラディショナル2Dは紙を使い、デジタル2Dは使わない。
見た目は似ているが、スピード/リズム/立体感が異なる。
また、(紙やスキャンの工程がなくなるため)制作費が30%ぐらい安くなる。

森さん:
映像商品マーケットにおいて、日本市場は「難攻不落の市場」と言われている。日本発のアニメは海外で見られているのに、海外の作品は日本市場に入れない。中国市場が難しいと言われているが、海外からしたら実は日本市場に入るのが一番難しい。

夏さんに質問→動漫基地について詳しく。

夏さん:

動漫基地は、中国独特の政府主催の産業集積地。
国家広電総局所属の物:
2008年には制作動漫基地が20カ所。教育/研究基地が8カ所。
文化部所属の物:
アニメ基地/デジタルエンターテインメント産業基地/クリエイティブ産業基地/デジタルメディア産業基地/ゲーム産業基地など52カ所
地方政府所属の基地も70カ所
その他全国でアニメフェアや動漫フォーラム、コンテスト等が行われている。

中国ではアニメを1993年から2002年で3万3900分制作したが、2008年には13万分超制作している。日本は2007年までのデータだが年間11万分ぐらいなので、中国が日本アニメの生産量を超えた。2010年は15万分を超えると予測されていたが、最近の発表で17万分超との報道が。動漫ブームである。

ブームがおこったきっかけは、共産党が2004年2月に出したドキュメント。外国からのコンテンツによる思想建設/青少年のイデオロギー等に影響が大きいため、国内の映画/テレビ/動漫等の産業を発展させる方針についてドキュメントが出された。中国政府はコンテンツ産業が今後の産業のエンジンになるということを認識しており、それを表明することでブームが起こった。

ブームの問題
•制作されたアニメの時間数は世界一なのに品質が低いこと。
•作品は作られているけれど、売り上げが上がっていないこと。
•内容が子供向けなものばかりであること。
•ビジネスモデルや回収モデルがないこと。

アニメ(制作の)学校も設立されている。2000年には2校しかなかったのに今や500校もあり、50万人もの学生がいる。

•問題は教師の数が足りないこと。
•卒業生の出口がないこと。
•授業では制作について教えているだけ。企画やプロデューサー、マーケティングのスキルがない。

中国の市場は大きい。(アバターの興行収入を見よ)

日中の交流の動きについて、慎重だが積極的。

個人のクリエイターと共同制作という事例。中国の漫画家チームが日本の漫画家と市場性のある作品を制作する動きがある。

日本から中国に輸出するというだけでなく、一緒に頑張って市場を攻めよう。

森さん:
メディアアートでは日本がダントツトップ。
アートの市場は中国が大きく、サザビーやクリスティーズの売り上げも中国の取引が大きい。

基地を使えば税金の優遇があり、家賃も優遇され、経営者の所得税も優遇される→やる気にさせる政策が取られている。

小原さん:
国家政策として優遇政策を国家も省も市もそれぞれ展開している。
現在借りている基地は1700平米だが最低2年間は賃料が無料。税金も営業税/所得税/個人の税金が優遇されている。省や市の施設は無料で借りられる。機材の補助もある。新たに社員を採用すると、一年間は助成金を受けられる。実務訓練もある。国際回線も便宜があり、銀行からの融資に関しても便宜がはかられる。制作したアニメが放送されると助成金を受け取れる。何か賞で表彰されると助成金を受け取れる。

ただし合作は対象外。国産でないとだめ。国産だと放送されるというメリットもあるし、優遇されるというメリットもある。

ただし、今は淘汰の時期にさしかかっていて、国際レベルの会社と助成金頼りで質の悪い物を作っている会社に二極化している。

日本アニメの海外での評価は高い。だが、資金力はない。
中国は資金力はあるがノウハウがない。
日本と中国のコラボレーションとしては絶好の機会だが、そのコラボレーションとは合作でも下請けでもない。


回収のポイントは、中国で制作し、日本で放映すること。

中国の助成金だけでは良い作品は作れない。日本のノウハウが必要なのである。

森さん:
合作や共同制作の定義はファイナンス面とディストリビューションの面がある。税制上、上がったお金の配分はどうするか等。経済産業省は無対物の合作について実績がないのでもっと学ぶ必要がある。

日本とのビジネスへの期待について:

潘さん:
中国産アニメを日本マーケットに出したい

Stevenさん:
市場で受け入れられるのは、良い作品だ。
現在の政府の補助は3年間。次の3年間は新しい政策が出てくると思う。
政府は国産アニメの品質が悪いということもわかっている。
国際レベルの物を作るためには、力強いテーマ/海外で通じる作品を作り、眼光を磨き、経験を積み、自分の力を上げることだ。政府に頼るのではなく。

森さん:
日本市場は難攻不落と言われているが、日本で流行れば海外でもいける。日本国民が目利きになっているのでは。しかし、日本でいけたから中国に持っていってもお金にはならないかもしれない。何が重要か。

夏さん:
日本のコンテンツビジネスの成功ノウハウを知りたい。

中国では消費者リサーチも行わず、R&Dも行わない。文化の理解も重要。

森さん:
優遇策がないのに行かないのはもったいないが、行くからには何か向こうにも与えなければならない。
文化理解は必須。クリエイターはセンシティビティが高いはず。

質疑応答
Q:「合作」について

小原:
国産/合作/外国産にわけられる。(チベット犬は合作)
審査の段階が異なる。
合作の場合は脚本を作って提出して、許可を得なければ着手できない。
国産の場合は1000文字ぐらいで内容を書いて提出して問題がなければ許可がおりる。
(もちろんできてから上映前に許可を得なければならないが)
契約の難しさも違う。

国産なら国内放送が容易。「日本の協力で国産だが商品価値が高い作品を作る」というのがよいのではないか。日本作品を単に中国に輸出しようとしても無謀だと思う。逆に中国作品が日本で放映されると助成金や奨励金が出る。

Steven:
国産か合作かについては、以下の3つのポイントがある。
1)ファイナンス(資金源)
2)ワークディビジョンと契約
3)レジストレーション(登記)

Q:海賊版について。中国でコナンやドラえもんなど海賊版が多く苦戦している。適度な海賊版はプロモーションだが、そんなレベルをはるかに超えている。対策コストもかかる。

潘さん:
中国の作品も海賊版の問題がある。テレビで放映すると音楽を盗られる。取り締まりきれない。

Steveさん:
制作プロセスから関わるパートナーに気をつける。

正規版は20元、海賊版は7元と大きな金額差があるため、海賊版を買う人が多い。
正規版:海賊版は3:7ぐらい。
30%と言っても、それでもマーケットは大きい。
よい作品しか海賊版は作られないので、海賊版が作られる程の良い作品だと考えることにしている。

潘さん:
クオリティが高い高価格バージョンと画質が低い低価格バージョンの2バージョンを発売する会社もある。

夏さん:
知的財産保護法がある。

日本から管轄して調査して対策しようとすると難しいが、
中国の法律事務所と提携して中国で対策を任せたという成功事例がある。

森さん:
CCTVはネット配信を開始。
テレビで見たいけど見れないという人がネットで海賊版を見る。
海賊版は止まらないが、それは中国だけの問題ではない。

某政治家が「日本のアニメは200数カ国で見られている」という話をしていたが、
200数カ国で放映されている日本のアニメは存在しないので、それは海賊版。

アメと鞭が必要。