2010年2月24日水曜日

ニコニコ大会議ツアーファイナル!3- 歌われた曲の背景など

先日のニコニコ大会議で歌われた曲の多くは、ニコニコ動画の中でユーザーによってオリジナルが投稿され、色々なクリエイター・プロデューサーによって作品が作られ、こねくり回され(笑)、どんどん面白くなっていくという歴史があった上であのパフォーマンスがある。。。というのが面白いところだと思います。曲に歴史あり。また、ステージに上がった方たちも、今まで色々な動画をニコニコ動画に公開してきており、それらのベースがあった上でステージのあのパフォーマンスがある。人に歴史あり。その辺の背景が面白いなと思っているのでまたブログ書いてみます。


みんなで作り上げた"smiling"

クライマックスで出演者全員が歌った「smiling」という曲は、halyosyさん、thatさん、isさんという3人のニコニコアーチストがプロデュースして、29人のクリエイターが集まって「ニコニコラボレーション」として創り上げられたもの。



公式サイトもあり、MP3やイラスト、壁紙、歌詞や動画などがまとまっています。





公式サイトより引用:

「ニコニコしようぜ!」のテーマに共鳴した、歌い手・弾き手、総勢29名が集い、皆で歌い奏で、紡いだ「Smiling」。
ニコニコ動画が始まったあの日から三年が経ち、
これから先も何年後の未来も、こうして、この場所で、誰かが誰かと繋がって、笑顔で歩いていけたのなら。
そんな願いを込めたこの曲が、みなさんの「Smiling」のきっかけになって頂けたら、幸いです。
2009.12.12  halyosy, that, is


プロジェクト参加者についてはニコニコ大百科より引用:

Singer



そして、この企画はドワンゴが仕掛けたものでもニワンゴがしかけたものでもなく、あくまでユーザー達が自主的にニコニコ動画の3周年を祝って作ったもの。災害に対するチャリティとか「こねっと」のようなものは今までもありましたが、この作品はあくまでニコニコ動画という一サービスのためにユーザー達が自主的に集まって作り出したもの。「ニコニコのWe are the Worldだ」と書いている方がおられてそれはさすがに言い過ぎかもしれませんが、イメージとしてはそういう感じですよね :)


こねくり回された"magnet"

もう一つ、ニコニコ大会議で歌われた「magnet」という曲。オリジナルはみなと(流星P)さんのこちらの動画です。イラストのゆのみさん、蝶デザインの上宮忍さんとのコラボで投稿されています。この時点では初音ミクと巡音ルカという2人の女性VOCALOIDでの作品となっています。



この曲をたくさんの人がイラストを描いたり歌ったりしました。

この動画は女性お二人(che:櫻井さん&ひと里さん)が歌っているものなのですが、一番は普通に女声なのですが二番が女性ながら男声で歌われている!



その逆がニコニコ大会議で歌われた赤飯さんとピコさんですね。お二人とも男性なのですが、一番を男声、二番を女声で歌っておられます。



これがニコニコ大会議の時の映像。



こちらは男性2人が歌っています。clearさんと蛇足さんによるもので、この曲も着うた配信されています。



こちらは男性2人(+ゲスト)によるラジオアニメ+歌という作品。面白い。



最初は女性2人の曲だったはずがなぜか男性2人が歌うホモネタソングにどんどんなっていき、男性2人が歌いまくるようになってしまったらしい。こちらはそんなたくさんの動画の中から男性9組18人の動画をリミックスした作品。一体なぜこうなった(^^;;



そして遂にはバ行の腐女子のネタにされ。。。



こちらはイラストを変え、歌詞を変え、遂には主旋律のメロディまで変えてしまったという作品。原曲が行方不明(笑)



そして、ちょうちょのヘッドホンを実際作る動画も。





セガのVoocaloidゲームProject DIVAによる動画。




こういった歴史があった上での、"magnet"という作品、ニコニコ大会議でのパフォーマンスなのだと思うと面白いなあと思います。だからこそヘッドホンを装着したとたんに会場がコンテクストを理解して湧くわけですね :)こういったムーブメントは、ステージには登場しなかった元ネタを作ったクリエイターや、こねくり回して面白くしていった数々のクリエイター達が作ってきたものなのだなあと思います。

以前2008年2月にニコニコ動画についてブログを書いた時面白かったのはネタ(たとえば「男女」とか「ウマウマ」とか)を投下するとそれが色々なキャラクターや作品(「ハルヒ」や「ミク」など)にトレスされて広がっていくというあたりだったのですが、2年たった今はもっと多角展開しているような気がします。


曲を震源地にアーチストがブレイクし、アーチストを震源地に曲がブレイクする

通常のミュージシャンは自分の持ち歌があってそれを歌う。他人がカバーをすることもある。という形になるわけですが、ニコニコの面白いところはそれがいい意味でぐしゃぐしゃなところ。よい曲があればみんなが歌って広がっていくし、その曲を中心に聞いている人がその曲を歌った他のアーチストを発見したりする。逆にアーチストを中心に聞いている人がそのアーチストが歌ったのをきっかけにその曲を知り、その曲を作った他のアーチストやその曲を歌っている他のアーチストを発見したりする。

例えばサリヤ人さんとちょうちょさんが歌った"Just Be Friends"は、オリジナルとしては巡音ルカに歌わせたPVとして発表されています。作詞/作曲はDixie Flatlineさん、PV制作はゆのみさん、共同コーラスアレンジ等を630(ろみお)さん、エンコードをピロリロPさんが行い、ニコニコにアップされています。



で、この「曲」がどんどん広がっていく。大会議でステージに上がった人で言うとステージではsmilingを歌ったhalyosyさんやらっぷびとさんもゼブラさんと歌っているし、ステージでは"magnet"を歌ったピコさんも歌っているし、ちょうちょさんも歌っているre:さんも歌っているmintというニコニコアーチストのグループでも歌っていて、ここにはちょうちょさんもルシュカさんも参加している。もちろん大会議に出ていないたくさんの歌い手さんも歌っている。

たくさんのファンがいる歌い手さん達が歌うことでこの曲いいじゃん!と広まっていく。作者だけの物、元の歌い手の専有物ではなく、ニコニコの中でみんなにとって自分の曲になっていく。そして彼らが必ず動画の説明文のところに元の作品へのリンクを貼っているので、制作者へのリスペクトは守られ、たどれるようになっている。結果的に大会議のステージに立ってこの曲を歌ったのはこの曲を作ったDixie Flatlineさんではないけれど、この曲がブレイクすることで着うたにもなっているし、動画の説明文のところに「冬コミでイラスト集とリミックスアルバムが販売」されていると書いてあるので、ファンになった人たちはきっとみんな買いに行ったと思います。

ニコニコ大会議で桃井はるこさんが歌った"メルト"もhalyosyさんも歌っている(250万再生!)し、ちょうちょさんも歌っているし、ティッシュ姫さんはベースを演奏している。こうした盛り上がりを受けて、オリジナルの初音ミクの"メルト"は2月25日現在555万再生。すごい!もちろんCDも発売されてオリコンランキングにも入っているし、着うたも発売されている。あまりにもたくさんの人が歌っているのでゴムさんは替え歌で"タルト"、ルシュカさんは原曲ブレイカーな"裏メルト"(メロディも歌詞も原曲をとどめない)を歌うなど、斜め上の方向に進んでます。



ニコニコ動画には「ニコニコミュニティ」という機能があって、アーチストにとってはファンクラブがあるような感じではないかと思います。新しい動画がアップされるとコミュニティメンバーにお知らせが行くし、雑談もできる。アーチスト達はmixiやブログ等と組み合わせで使っている人が多いようです。

例えば大会議で"Just Be Friends"を歌ったサリヤ人さんのコミュニティはこちら。彼女も着うたや着ボイス、CDが発売されています。ちなみに彼女の動画に張られたマイクが売れまくったため、「マイク売りのOL」とも呼ばれているそうです。同じく"Just Be Friends"を歌ったちょうちょさんのコミュニティはこちら

"magnet"を歌ったピコさんのコミュニティはこちら。12,782人のメンバーがいるようです。CDも発売され、JOYSOUNDSでカラオケ配信もされ、ライブ活動もしているようです。同じく"magnet"を歌った赤飯さんのコミュニティも15,134人もメンバーがいます。

ぽこたさんのコミュニティはこちら。彼もCDや着うたを販売しています。

昔の音楽界には誰でも知っている有名曲/ミリオンヒットみたいな物がたくさんあったと思うのですが、最近の音楽系テレビ番組はあまり新曲をやらなくなってたり(最近のHeyHeyHeyMusicChampは昔の有名人ばかり呼んできて昔の曲ばっかりやってたり。)みんなが知っている国民的ヒットソングが少なくなっていると思います。ニコニコというすごく狭い世界の中ではありますが、こうしてみんなが知っていてみんなが歌えてみんなから愛されている歌が多数出現しているのは素晴らしいなあと思います :)


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