2010年2月4日木曜日

中国におけるアニメーションビジネスの潮流れぽー1

旅行自体についての内容ではないのですが、今後旅行先でのコンテンツ関連記事も書くつもりなのでこっちのブログでれぽを書いておこうと思います。

(株)シンク 代表取締役社長の森祐治さんの講演から。
「日本製アニメーションの中国展開方策の事例と検証」

chinese animation business

▲▽▲中国の動漫/関連市場の経済規模は巨大。▲▽▲

●中国の人口は13億人、うち動漫消費者は約5億人(38.5%)
市場規模は4兆7,250億円(日本国内のアニメ+関連産業の流通付加価値は1.5兆円程度)

内訳:
動漫そのものの市場(放映+DVD)  1兆5,000億円
動漫関連衣料 1兆3,500億円
動漫関連文具 9,000億円
動漫関連食品 5,250億円
動漫関連玩具 3,000億円
動漫関連書籍 1,500億円
その他    1兆5,000億円(リアルイベント/演劇/携帯関連コンテンツや関連ゲーム等)

●上記は中国本土のみ。中国を制すると、中国本土以外にも世界中の「中国語圏」のマーケットが広がる。
中国国内:人口13.46億人
アジア/オセアニア圏17カ国の華人→人口34.26億人、GDP84,325億ドル。これに加えて欧州や米国在住の華人がいる。

▲▽▲中国市場への日本のアニメの定着▲▽▲

●正規でない形での日本アニメの浸透
 80年代後半→漫画が香港•台湾経由で流入/ドラマをきっかけに日本のライフスタイルに憧れ
 90年代→海賊版DVD/インターネットにより作品の認知度向上
 00年代→ネット(P2Pや動画配信サイト)による視聴層の拡大/コスプレや同人誌等の再生産

日本語習得者のほとんどが漫画/アニメ接触がきっかけと述べる
●反日感情とは異なるレベルで定着が進む

▲▽▲ただし、正規輸入には規制の壁▲▽▲

海外からのテレビアニメの輸入審査プロセスが複雑、かつ海外コンテンツへの窓口が限定的
1)批准輸入機構の審査(SMGなど内部審査)
2)省級広播電視部門の審査(輸入元の資格条件等審査)
3)国家広電総局の審査
免許は3種類(自局放映/地域放映/全国放映)
中国政府のコンテンツ関連規制/行政機構が複雑

chinese animation business


国内産業の育成のための規制が多数存在

•中外合作→中国側の機関はドラマ制作許可証を保有していなければならない。主要スタッフ(脚本、プロデューサー、監督、メインキャスト)は、中国側が1/3以上でなければならない。
•国産アニメの放送量は7割以上でなければならない
•国産制作機関が海外アニメを輸入する場合の上限は国産アニメと同じ量
ゴールデンタイム(17時から21時)の海外アニメの放送は禁止

結果、日本作品の持込はここ数年ゼロ

2009年12月現在中国で放映されているアニメ
→ドラゴンボール/ドラえもん/テニスの王子様/超魔神英雄伝ワタル/三国演義(日中合作)/名探偵コナン/一休さん/ポケモン

最新のものでも5年前のテニスの王子様

中国への持ち込みは大変だが、不可能ではない。例えばViacomはやっている

日本アニメだけでなく、米国アニメも同様の規制を受けているが、米ViacomグループのNickelodeonは中国での放映に成功している。ここでの鍵は、
1)複数の作品をまとめてもっていき、先方に選ばせる。(個別の会社が個別の作品を一個一個持っていき交渉するのではなく、複数の番組を扱うチャネルが窓口になり、たくさんの作品の中からうまく交渉をしていった)
2)官民連携(米国政府高官と共に文化部と折衝した
3)スワップシンジケーション→CCTVのアニメ番組を米国のNick-Asiaで放映する代わりに自社作品(スポンジボブなど)を中国国内で放映することに成功

→中国政府も杓子定規の対応ばかりではない。「日本もちゃんと交渉すれば進むのに、ちゃんと交渉してないんじゃない?」

●完成品の持ち込みだけが市場参入ではない

•海外から持ち込みされた作品については制限が多いが、国内制作作品には優遇策
作品に中国国籍を取る
•中国作品は補助金を目当てにした粗製乱造が目立つ。ビジネスモデルも未完成。
(放映料は低く、放映以外の回収モデルも不十分)
対して日本のアニメは質が高く、メディアミックス等のビジネスモデルも得意。
→日本型ビジネス展開モデルの導入は?
•海外への展開もできる高品質作品が必要だが、中国製アニメは幼年向けばかり
→中国の資源を活用し、日本で通用する物が作れないか?

▲▽▲コンテンツの中国籍獲得▲▽▲

日本はコンテンツの国籍についてもっと勉強し、戦略的に使うべき。海外では色々な国でやっている。例えば中国スタジオでの制作&中国からの出資を受けて、中国国籍の獲得ができないか?

ex)ドイツ政府が映画製作に税優遇措置→ハリウッドはドイツの資金で作品を制作(米国製だがドイツ国籍)→世界で興行

Pirates of Carribeanはヨーロッパの資金を使ってアメリカのスタッフが制作。

(fumiコメント:多分「サヨナライツカ」もかな?監督/製作総指揮/脚本/撮影/編集等は韓国で韓国籍だが、原作は辻仁成、出演者は主演の中山美穂をはじめみんな日本人。主題歌も中島美嘉)

•中国の文具や玩具プレーヤーとの展開は?
中国の「産権取引所」とは、国家資産を民間へ提供するための常設の競売所が期限で、取り扱い対象は証券ではなく、現物や事業、商標等多様。取引所は各種政府機関が併設→ワンストップで許認可も。上海などに文化産権(知的財産など)に特化した取引所が設立された。

産権取引所利用のメリット:
•中国の認可は複雑なのは前述の通りだが、取引所には税務署/法務局/文化部等の窓口が設立されており、ワンストップで取引できる。
•取引だけではなく、投資家や金融機関から資金獲得も。ファイナンスの窓口となりうるのでは?

▲▽▲動漫産業基地▲▽▲

動漫基地」とは中国国家公認のアニメ生産拠点で、政府が政策的に動漫制作会社を税優遇などで支援するシステム。現在全国17拠点に設立され、5,600以上の動漫制作会社が使っている。
1)東北:ハルピン/長春/大連
2)華北:北京/天津/河北
3)長江:上海/杭州/南京/蘇州/無錫/常州
4)南方:福州/厦門/広州/深圳
5)南西:成都/重慶/昆明
6)中部:長沙/武漢/南昌

世界は日本のような自由市場ばかりではない。中国には規制があるが、ヨーロッパだって規制はある。その意味では中国を必要以上に特殊な市場と考えるべきではないが、相手の国の商習慣に合わせることは必要である。そのためにも対話をすること、そして知恵を絞ることが必要なのである。