2018年9月20日木曜日

JoiのPh.D取得記念パーティーに行ってきた!

デジタルガレージ・テクノラティ・Joi Ito's Lab時代の上司だったJoiこと伊藤穰一さんの博士号取得記念パーティーに行ってきました。Joi、おめでとうございます!



<集合写真:photo credit 石井裕先生>

Joi の博士論文は GitHub に上がってます。

"The Practice of Change"

https://github.com/Joi/phd-dissertation

日本語タイトルは「変革論」。

 "How I survived being interested in everything"っていうのがJoiらしい :D

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村井先生と Joi。ビフォア

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アフター

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色々お作法があるらしい。

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後ろのデザインも素敵ということで後ろもご紹介。

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たくさんの方がお祝いにかけつけました。皆さん、素敵な笑顔!

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博士論文は284ページもあるのですが、Joi みずから概要を15分でご紹介!
御本人の許可を頂いたので思い出しながらご紹介。

15分解説版:"The Practice of Change"

世の中は複雑なシステムでできており、自然に適応していくようになっている。

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現代の経済は複雑だけど循環するシステム(circular system)ではないのが問題。世の中は便利で効率のよい「プロセス」を求め、それが複雑なシステムを壊していき、富は循環せず、貧富の差がますます開いていく。

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では何が必要なのかというと、Art, Science, Design, Engineeringのループ

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昔のBauhausの事例。建築や素材、色やツールなどをループさせることによって、この時代に合う新しい開発が行われ、新しい物が生み出されていた。

ちなみにその頃の真ん中はハウス(building)だった。今はawareness。

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これは自然から来たマテリアルでできた像で、自然に戻すことができ、建築であり、デザインでもあり、アートであり、工学でもある。

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大自然から学ぶため、メディアラボでは世界中の原住民の研究を行っている。原住民たちは、太古から自然とのコミュニケーションをやってきた。日本も自然との共生を得意としてきたはずの国なのに、高度経済成長でそれが壊れてしまったのではないか。

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BI(Before Internet)の安定していた時代。

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AI(After Internet)で一気に複雑化していった。

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インターネットの黎明期は、お風呂場に突っ込まれたサーバ達で某ISPが動いていて、某新聞社のウェブサイトのバックエンドもここで動いていた。99.9%は動いてて、時々熱で止まってしまい、慌ててファンを買いに行くような時代だった。

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電話の時代には大きな電話の会社があり、ITUのような規制機関があり、そして主なステークホルダーとしては政府がある、こんな構造だった。

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それに対してインターネット時代には色々なレイヤーが出てきて、オープンプロトコルや強制的な価格破壊、アンバンドル化がどんどん行われていった。

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ブロックチェーンもこんな風にアンバンドル化できるのでは。

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昔のインターネットというのは、経理の人が自分でプログラムを書いてみて計算ソフトを作ったり動かしてみたり、自分でゲームを作ってみたり、自分たちで何かを作り出せる世界だった。

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インターネットはレゴみたいなもので、エコシステムになっていた。

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そしてそこから色々なサービスが次々と誕生していった。

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ところが今は、レゴ型ではなく、ソリューション型、パッケージ型になってしまった。

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昔は企業の方が効率良かったのだが、複雑化する世の中の中で、企業よりバーチャルコミュニティの方が効率がよくなってきた。

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資本型モノポリーからネットワーク型モノポリーへ。

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SafeCastの事例紹介。
SafeCastとは、東日本大震災の後にJoiが立ち上げた放射能を図るコミュニティ。

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現在は1億データポイントまできた。

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SafeCastでは、ガイガーカウンターを市民のみんながキットで作ったり、データを測ったり、アップロードしたりする。学者や国がやるのではなく、みんなが参加することが重要。学者や国が出してくるデータを見ているだけだとみんなは動かないけど、自分で作ると人々がアクティベートされる

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Joiの家のキッチンでDNAの研究。

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従来は囲い込みがちだった、農業のオープンリサーチが始まった。

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CubeSatは衛星をみんなで作るプロジェクト。宇宙もオープン化が始まった。学生でも自分で設計して衛星を打ち上げられる。

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複雑なシステムの中で変革を起こすには、システムを変えるのではなくゴールを変えることが大事。

ゲーム「Monopoly」は有名だが、実はもともとは共産主義の人が作った「資本主義は悲劇になる」(大家と借り主の世界、土地の独占が可能となるような社会制度はよくない)というコンセプトのゲームだった。

ところが、このゲームのゴールを「友達を倒産させる」ことに変えたところ、ブレイクした。

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GenZの子どもたちが世界を変える!

GenZの若い子達は、ソーシャルメディアがなかった頃を知らない。この子達が世の中の考え方、バリューを変えていく。我々大人はそれをサポートしていかないといけない。

フロリダの高校で銃乱射事件が起きた後、それでもJoiがアメリカの未来について楽観的でいられるのは、GenZの子どもたちの動きを見たから。

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学校をボイコットしたり、アクティビストの活動をしたり、と動き始めた生徒たち。それに対して、退学にするぞと脅す高校の先生たち。そうした活動をしている生徒達を「じゃあうちの大学で受け入れるぞ、どんどんやれ!」ともりあげるMITを始めとする大学たち。

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昔のヒッピー時代にもつながる、こういう子どもたちを、我々大人たちは信用して、支援するべきなのだ。。。ということでお話終了。

せっかくなので最後にJoiとツーショット :D
改めて博士号取得、おめでとうございます〜!

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Disclaimer このブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

2018年4月29日日曜日

GTUG Girls #39 GAS(Google Apps Script)を使ってみよう

GTUG Girls、なんともう第39回です :D
継続は力なり。素晴らしい!

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第39回 GTUG Girls GAS(Google Apps Script)を使ってみよう

今回のテーマは Google Apps Script。「懐かしいなー」なんて思って行ったら、めちゃめちゃ進化してた!特に4月11日にリリースされたばかりのGASのマクロが簡単便利で驚きました。

資料はすべてこちらに公開されています。

講師のa2c(@atusi)さん、チューターのさんとりー(@soundTricker318)さん、ありがとうございました!非常にわかりやすかった&質問しやすかったです。

エンジニアじゃなくても便利機能が比較的簡単に使えるのがGASのよいところ。「総務の人とか経理の人とかのお仕事がちょっとGASを知ってるだけで、相当楽になると思う!」とのことでした。

今日のお品書きは下記の5段階構成で、各自のペースで進めることができます。

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1. Getting Started with GAS 
2. Spreadsheetの拡張
3. claspの使い方
4. Google Formでお礼メールを送る
5. Gmail Addonを作る

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1. Getting Started with GAS スライド 
-GASとは
-GASのはじめの一歩
-GASとSpreadSheet(GASでメール配信システム・高速化)
-Spreadsheetのマクロ

2. Spreadsheetの拡張 スライド
-Sheetsの拡張
-独自関数
-トリガー
-メニュー
-ダイアログとサイドバー

3. clasp の使い方 スライド
-Command Line Apps Script Projectsの略。オンラインでしか使えなかったGASが、ローカルで使えるように!(新規GASプロジェクトの作成、コードの編集、デプロイ等)

4. Google Formでお礼メールを送る スライド
-Google Formの自動返信メールを投稿の度に自由な文面で返信できるようにするスクリプトのハンズオン。

5. Gmail Addonを作る スライド 
-Gmail にサイドバーUIを追加できる拡張機能のハンズオン。

スタッフの皆さん、お疲れ様でした!次回は記念すべき第40回!

Disclaimer このブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

2018年2月21日水曜日

Niantic に入社しました!

先日、「2018年の新たな門出について」というブログ記事で Google を退職したことについて報告しましたが、本日から Niantic にジョインすることになりました!



Niantic とは:

Ingress や Pokémon GO 等の AR モバイルゲームを作っている会社。ハリーポッターを題材にした "Harry Potter: Wizards Unite" のリリースも控えています。

Pokémon GO トレーラー



Ingress トレーラー




私は APAC のコミュニティマネージャを担当させて頂きます。Ingress エージェント、 Pokémon GO トレーナー、そしてこれから始まるハリー・ポッターの世界に参加してくださるみなさんと一緒に3つの世界を盛り上げていけたらと考えております。どうぞよろしくお願いします!

なぜ Niantic?

私は初期からの Ingress agent で (founder badge も持ってます♪) 当時から Ingress は色々な意味で面白いと思っており、2013年3月(ちょうど5年前!)にサンフランシスコの Alchemy で開催された cross faction meetup に参加したり、2013年6月に日本初の cross faction meetup を両陣営のエージェントの皆さんと一緒に企画させて頂いたり、2014年に石巻で開催された anomaly を 20% プロジェクトとして手伝うため(当時 Niantic は Google の一部署でした)サンフランシスコから駆けつけたりしました。Pokémon GO もフィールドテストから参加させて頂き、初期の頃にブログにまとめたりしていました。

その面白さの根底にあるのはやはり「物理的に人が動く」ということです。

Niantic は、ゲーム自体も面白くて、私は Ingress はレベル 16(一番上のレベル)、Pokémon GO はレベル 37(一番上はレベル40)。。。と結構やっている方だと思います。そんな中で、もっとも面白いと思うことは物理的に人が動く」ということ、その結果「人々がスクリーンの中ではなく現実の世界をもっともっと見るようになる」ということ、「人々が現実の人とコミュニケーションを取るようになる」ということ、そして「そこで見えた現実世界。。。自分の街や訪問した場所をよくしていきたいと考えて行動するようになる」こと。

初期の頃の Ingress はかなりコロコロとルールを変えたりパラメータを変えたりしていて、文字通りの朝令暮改もありました(笑)その時が一番わかりやすかったのですが、Ingress のルールが変わるとみんなの動き方が変わるんです。それってものすごいことだと思ったんですよね。

人の行動を変えるのってものすごく難しい。だけど、Ingress を通じてみんなの行動に様々な変化が見えてくる。

右に行く予定だった人が左に行ったり。
あまり家から出なかった人が外出するようになったり。
Ingress をきっかけに行ったことがない国や街に行ってみる人がいたり。

そしてそれは Pokémon GO によって更に加速されていく。

引きこもりだった友人の友人の子供が Pokémon GO をきっかけに外に出始めて、友達もできて笑顔が戻ってきたり。
自動車事故に巻き込まれた同僚が大怪我をしたのですが、Pokémon GO をやるために外出することで精神を安定させ、歩くことがリハビリになって治っていったり。

そうやって外に出ることで、周りが見えてくる。自分が旅好きだということもありますが、やっぱり現地へ行き、現物を触り、現地の人と話さないとわからないことはたくさんあると思っています。実際に歩いた場所の素晴らしさも、問題も。そして見えてきた問題を解決したいという気持ちも湧いてくる。それを促進する力が Niantic のプロダクトにはあるのではないかと考えています。

2015 年に Google の civic innovation チームにいたときに、どうやったら市民がもっと自分たちの街に興味をもち、自分たちの住む街をよくするために行動するようになるかをみんなで考えました。役所に文句を垂れて任せるのではなく、自分達の街を自分達の手でよくしていこうじゃないかと。

しかし、定量調査や定性調査を重ねて分析している中で、多くのアメリカ人が自分達の住む街をよくしたいという気持ちはあるが、自らは動こうとしない「興味を持った傍観者 - interested bystander -」 だということがわかりました。報告書はこちら

Google Politics and Elections Blog: Understanding America's "Interested Bystander:" A Complicated Relationship with Civic Duty

そういうのを全部ぶっ飛ばして市民がみんなで「自分ごと」として動いた瞬間というのはあるのですが、トランプ大統領の諸々の政策に反対する抗議デモとか、SOPA/PIPA の時とかだったりするわけです。

それに対して、Ingress agent の皆さんが「どうせ Ingress やってて地元を歩くんだから、地域の見守りパトロールもやろうよ」「献血ルームをポータルとして登録し、そこを回って陣地を広げたり、グループの献血者数を競ったりする Red Faction イベントを企画してみようよ」とクリエイティブに考えて、どんどん地元や社会のために行動しているのを見ていると、「単なるゲーム」ではない可能性を感じます。

Ingress 速報:
大阪市天王寺区、区内全ての26公園にIngressパトロールを導入

毎日新聞:献血イベント ゴールは「献血の心」 ポケGOの“兄弟”ゲームで 施設を目的地に 若者の参加へ一役 /京都


なお、RedFaction in 関東甲信越 2017winter~2018spring は第1回が1月14日に終了し、第2回が2018年3月24日(土)~4月8日(日)に開催されるようですね!

そして Niantic 自体も Social Impact や community engagement を強めていこうという考えをもっているように見受けられます。


また、Niantic は石巻や鳥取など、色々な自治体ともコラボレーションしていて、その結果たくさんの人が物理的に旅をして、フレッシュな目で「今まで気づかなかった日本のよいところ」を発見しに行っている。

ケータイWatch: 「ラプラス祭りに10万人」「送客実績は5億人」「Pokémon GOはギガが減らない」――ナイアンティック河合氏が語る“人を動かすゲームの力”

ファミ通 App : 【ポケモンGO】鳥取イベント3日間で8万9000人のトレーナーが集結!経済効果は約18億円に

入社前、勝手にそういうことを考えて Niantic いいなあと思っていたわけですが、最近の John Hanke のインタビューを読んでいるとあながち間違ってない気がします :D


ナイアンティックが掲げている使命は、「より多くの人が外出してつながり、新しい発見をして、世界の美しさに気付いてもらう」ということです。この使命に向かって活動していけば、より良い社会づくりに貢献できると信じています。 我々は「イノベーションを起こしたい」ということよりも、「良いプロダクトを作りたい」とか「ポジティブなインパクトを社会に与えたい」ということに専念しています。こうした姿勢でプロダクトを作り続けている結果として、革新性のある会社だと評価されているのかもしれません。
とにかく一番大切なことは、人々が幸せになることです。我々は少しでも、その役に立つことをするということに尽きます。 ナイアンティックが手掛けるゲームで遊んでもらうことによって、外出して体を動かす。ユーザー同士が現実世界でつながる。こうした体験をしてもらうことで、ユーザーの人生を豊かにしたい。こう考えて、ポケモンGOやイングレスを開発しました。周囲を見渡すと、人生を楽しんでいる人というのは、人との出会いを大切にし、直接コミュニケーションしているケースが多いと思っているからです。デジタルデバイスを使ったゲームの多くは、ユーザーが体を動かすというよりも、スクリーンの前で受動的に楽しむものでしょう。このような娯楽だけにふけっていると、人間というのは幸せを感じるよりも、不安や怒りといった負の感情が強くなってしまうような気がします。

みんなで幸せになろうよ。(c) 後藤隊長

思えば 2015 年に Google Social Impact team がなくなり社内転職活動を始めたとき、「これは面白くなりそうだ」と思った Google のプロジェクトが 3 つあって、それが Project Soli, Project Jacquard, そしてまだ Ingress と Field Trips しかなかった Niantic でした。当時川島さんと John に相談に行ったのを覚えています。

2年半たって、結果的に 3 つ全てに 関わることができたということはこの上なく幸せなことです。ただ、 Niantic が Google/Alphabet から出ていってしまっていたので、ジョインするには Google を辞めざるを得ない(´・ω・`)そういうわけで、先週の金曜日に Google を退職し、本日からはスタートアップである Niantic で働き始めました。(Niantic は Google でインキュベートされましたが、今は Alphabet companyですらありません)

4 年半も日本を離れていたので完全に浦島太郎ですが、来週から東京に戻ってがんばりますのでよろしくお願いします!

今週は Niantic のサンフランシスコオフィスでの勤務。オフィスがおしゃれです!
写真はエントランスにいる潜水服です :)



人員絶賛募集中だそうです!

Niantic は全世界のオフィスで人員絶賛募集中だそうです。詳しくは下記から:


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2018年2月15日木曜日

2018年の新たな門出について

2018年を迎え、新しいチャレンジに挑戦することにしたのでお知らせです!

7 年半勤めた Google を退職し、来週からスタートアップで働くことにしました。また、それに伴い 4 年半住んだアメリカベイエリアを離れ、再来週から東京に引っ越すことにしました。

退職してしまいますが、今も Google は大好きで "Google is the best place to work in the world!" と本当に思っています。よい機会なのでちょっと 7 年半を振り返ってみたいと思います。

●2010年、入社。

入社したときは Google の東京オフィスで働いており、エンジニアでもないのに Developer Relations Japan country lead をやるということで本当に右も左もわからない状態で入社しました。DevRel のチームメイトの皆さんや、Google のエンジニアの皆さん、そして Google API Expert / Google Developer Expert(GDE) や Google Developers Group (GDG)、html5j などの開発者コミュニティの皆さんに助けて頂き、教えて頂きながら開発者コミュニティの支援活動を行っていきました。

Google Developer Day Japan という、Google I/O に次ぐ Google にとっては二番目の規模の開発者イベントの主催者を 2010 年、2011 年と務めさせて頂いたのもよい思い出です。

特に 2011 年の日本の GDD は「開発者の、開発者による、開発者のためのカンファレンスにしたい」と思って、多くの開発者の方や Google 社員の皆さん約 100 人にボランティアで運営に参加してもらい、みんなで作り上げるカンファレンスを目指しました。会場には Google による展示だけではなく、Google technology を使った開発者の皆さんのプロダクトの展示もたくさん行って頂き、+1 シールや缶バッジの交換、プロフィール交換、Google 社員への質問コーナーなどインタラクティブなセクションも多く設けて、楽しいカンファレンスを皆さんと一緒に作り上げることができたと思います。



●2011年、東日本大震災が発生。

Crisis Response なんて誰も知らなかったけど、Google 東京オフィス中のみんなが「自分にできることは何か?」を考え Crisis Response の活動を始めました。膨大なアイディアで伸びていくスプレッドシート、結局 40 ものサービスがローンチ。マネジメントから東京オフィスの皆さんに「せめて土日は休んでくれ。体も大切だ。」という司令が出るほどみんな不眠不休で動いていました。

この事態に、DevRel としてできることは何か。Amazon Japan や Microsoft Japan や Yahoo Japan など、いつもは競合他社の会社の皆さんと一緒に「今は日本の危機。会社の枠を超え、対抗するのではなく連携しよう。この未曾有の事態にエンジニアができることは何だ!」と Hack for Japan を立ち上げ、日本中とオンラインでハッカソンを開催しました。

現地に行かないとニーズがわからないということで4月に東北に視察に行ったところ、マグニチュード7.4の余震を体験するということもありました。

当時、放射能の正しい情報がわからなくて、Hack for Fukushima でお会いした福島の方に「私の娘は結婚できるんでしょうか」とつきつけられた言葉が心に残っています。世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする会社に勤めていますが、わからないものはわからない。情報の大切さ、情報の開示の重要性、情報は人の命を左右するということ、情報は人生に影響を与えてしまうということ。あれこれ考えました。




そしてまた災害が起きた時、日本社会はどういう情報をもっているのか、どう情報を使うことができるのか、あるいは使えないのか。Project311(東日本大震災ビッグデータワークショップ)は日本を次に起きうる災害に備えるために始めたプロジェクトでした。3月11日から1週間の朝日新聞記事、Google Trends、東日本大震災直後のテレビ放送テキスト要約データ 、3月11日から1週間のツイート 、NHK総合テレビ大震災発災直後から24時間の放送音声書き起こし及び頻出ワードランキング、Honda インターナビ通行実績マップデータ、レスキューナウの鉄道運行情報/緊急情報/被害状況のまとめ情報、ゼンリンデータコムの混雑統計データを各社に提供して頂き、約2ヶ月をかけて参加者の皆さんがデータを分析し、今後起こりうる災害に備えて、どのようなことができるかを議論していきました。

また、「震災で何もかも失った地元で僕たちは今後生きていけるのか、農業も漁業も工場もやられて親はみんな仕事を失っている、僕達はこの街にいて、将来仕事はあるのか。」と不安がる子どもたちを見て、東北にいながらアプリ開発者として生きていける人材が育ってくれればと東北Tech道場を始めました。



●2013 年、渡米。

震災後の日本で始めた色々な活動がきっかけで傾倒していった Crisis Response, Civic Innovation, Open Data や Open Government, Internet governance の様々な課題に Google DevRel としてどう取り組むべきなのか。上司と相談し、Mountain View 本社への転勤を決めました。しばらくは DevRel チームの中で一人プロジェクト Project Open の立ち上げという形で、講演やら小さなプロジェクトの立ち上げやら、バラバラと色々なことをやっていました。

思い出に残るプロジェクトとしては IGFのコンテンツをオープン化する Friends of the IGF があります。

ある日、同僚から「Vint Cerf からの依頼だぞ」というメールが入ります。国連が主催する Internet Governance Forum (IGF) というカンファレンスがあり、internet governence のあらゆる側面について世界中から参加者達が集まって議論をするのですが、その動画が撮影されているはずなのに何年たっても公開されない。IGF は超重要な会議なのに、ログが残らないので議論がその場で消えてしまう。誰かなんとかしてくれーと。さっそく国連本部と連絡を取るも、「動画がどこにあるかわからないし、見つけてもアップする暇もないし、誰かやってくれないと無理!」という回答だったので、それならその誰かになってやろうじゃないの。。。とジュネーブの国連本部に一人で赴き、動画のデータ(DVDとかハードディスクとか)を探し出し、IGF の YouTube アカウントに一気にアップロードしてサイトにまとめる、という荒業に出ました(笑)それを見ていた IGF のボードの一人が主体となってくれて Friends of the IGF という NPO を作り、APNIC からのスポンサーシップもあり、次の年からは完全にお任せして安定運用となりました。めでたしめでたし。

●2014年、 Google Social Impact へ異動。

Google Social Impact というのは、「テクノロジーを使ってどう社会をよくするか」を考え、実現していくための部署で、Civic Innovation, Google Crisis Response, Google.org, Google Ideas (現Jigsaw), Google Giving で構成されていました。

Google I/O 2014 ではチームメイト達がこんな講演で紹介しています。



私は Civic Innovation と Crisis Response チームに参加し、色々なプロジェクトを立ち上げさせてもらったり、参加させてもらったり、外部のプロジェクトの支援活動をさせてもらったりしました。

その一つが、Civic Bridge。市役所と提携し、その都市の大きな問題に対して、そこに住む Google 社員をボランティアで派遣し、一ヶ月間フルタイム、3ヶ月 20% プロジェクトの合計4 ヶ月をかけて問題に取り組んでもらうというもの。Google 社員にとっては自分が住む街の大きな問題を解決できるまたとないチャンスですし、市役所にとってはテクノロジー人材が役所内には少ない中、Google 社員が問題解決に取り組んでくれる、というプロジェクトです。

最初のパイロットはサンフランシスコ市役所と行ったのですが、実際にやるとなると調整調整の連続、毎日のように色々な弁護士に説明をしに行ったり、デザインの絡むプロジェクトなのにデザイナーが見つからず、せっかく見つかった Googler の上司がやっぱり忙しいからダメだと言ってきて説得しに行ったりと一筋縄ではいかなくて、毎日駆けずり回っていました。

サンフランシスコ市役所(San Francisco Mayor’s Office of Civic Innovation)と取り組んだ問題は2つ。

Department of Emergency Management とのプロジェクトは、緊急通報用電話番号「911」への通報が異常に増えているが、オペレーターの増員は時間がかかる。しかし、オペレーターが足りない状態だと緊急で助けが必要な人を助けられないことになる。911 のパンクは、人の命に関わります。この通報の増加は一体何が原因なのか、データ分析を行ってほしいという案件。最終レポートはこちら

Mayor’s Office of Housing and Community Development とのプロジェクトは、住宅事情が逼迫するこのサンフランシスコで市役所が制作している affordable housing (安価な住宅)を見つけるためのポータルサイト構築のコンサルティング。デザインスプリントやヒアリングなど、様々な活動が行われました。(サイトの構築自体はあくまで市役所が外注したベンダーが行います)その後市役所がローンチしたサイトはなんと Good Governement Award を受賞したそうです。

発表会には当時のサンフランシスコ市長 Ed Lee も来てくれました。記念写真パチリ :D



この最初の Civic Bridge に参加してくれたメンバーは 6 人いたのですが、「自分のテクニカルスキルがこんなに役に立つなんて!物の考え方が変わった!」と非常に好評で、終了後、一人はホワイトハウス (USDS) に転職、一人はサンフランシスコ市役所に転職、一人は 20% プロジェクトとして Civic Bridge のプログラムを私から受け継いで次の年から運用してくれて、一人は大学に政策を学びに行き、一人は大学に医学を学びに行きました。みんなの人生が変わっていくの、すごい。

。。。とここまでは順調だったのですが、なんとこの年 Social Impact という部署がなくなることに。ガガーン。

●2015年、Google ATAP へ異動。

さあ困ったということで社内転職活動の末、Google ATAP (Advanced Technology and Projects) という今の職場に異動することになりました。

Google ATAP では、Project Soli (レーダーを使ったジェスチャーセンサー)と Project Jacquard (インタラクティブなテキスタイル)を担当することになったのですが、私はレーダー技術もマシンラーニングもシグナルプロセッシングもファッションも完全に素人で、右も左もわからない状態からスタート。チームメイト達に教えてもらい、勉強しながらこの 2 年半やってきました。非常にチャレンジングで面白かったです!

Project Soli の紹介動画



Project Jacquard の紹介動画



Project Jacquard のメイキング動画。



私の仕事は Project Soli がメインで、2015年には Soli Alpha DevKit をリリースし、開発者の皆さんに提供しました。



その DevKit を使って、開発者の皆さんが作った様々なプロジェクトのショーケース動画はこちら。



こうした開発者の皆さんをマウンテンビューにお招きし、Soli Developers Workshop を開催したりもしました。



昨年はどちらのプロジェクトも開発がどんどん進み、Project Jacquard はLevi'sとのコラボレーションによるジャケットを無事発売することができました!



ATAP に異動してきてすぐにサンフランシスコのマーケットストリートという目抜き通りにある Levi's store に行き、Levi's のジーンズを何枚か購入したのを思い出します。Levi's とのミーティングに他社のジーンズを着ていくわけにはいかないですからね。当時から「このお店に Jacquard jacket が並んだらどういう感じかなあ」とか妄想してました。

なんと、その SF Market Street の Levi's store をジャックして、Levi's が Jacquard jacket のローンチパーティを開いてくれました。「自分たちの商品がお店に並んでる」ってすごい。すごいことだ!


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同僚とフォトブースで写真を撮っていたら、なんと Levi's の社長の JC が入ってきて、一緒に写ってくれました!




ちょうど昨年末、Project Soli は非常に大きな開発マイルストーンを達成し、Project Jacquard はLevi's Jacquard ジャケットを発売という非常に大きなマイルストーンを達成することができ、ほっと一息ついたところでとあるスタートアップの方にお誘いを頂き、転職して東京に戻ることを決めました。

本当に楽しくて、勉強になって、密度の濃い7年半でした。繰り返しになりますが、今も "Google is the best place to work in the world!" と本当に思っていますし、退職アンケートにある「また Google に帰ってきたいと思う?」という設問には "Yes!" と回答しておきました :D

さて、長くなってしまったので、来週からの新しいチャレンジについてはまたエントリーを改めて書きたいと思います。

Google の皆さん、Google 時代にお世話になった皆さん、本当にありがとうございました。

Disclaimer このブログは山崎富美の個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には一切の関係はありません。

2017年9月21日木曜日

これからの人生で一番若いのは今日!サンフランシスコマラソンの 5k を走ってきました。

もう二ヶ月も前のことですが、サンフランシスコマラソンの 5k を走ってきました!

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そして最近の口癖がこれ、「これからの人生で一番若いのは今日!

社会人になってからというもの、人生の殆どの時間を仕事に使っているのが現実で、オフィスワーカーとしては机に向かってパソコンを叩いている時間や会議室で座って会議をしている時間がすこぶる長く、結果的にとても運動不足になっていることを自覚しています。

その結果、昨年はちょっと小走りしただけで足首を捻挫し、urgent care に飛び込むことになってしまいました。夜道で暗く、雨が降っていて落ちていた大きな木の枝達に足を取られたというのもありますが、情けないことです。

しかしよく考えてみると誰しもこれから毎日毎日年を取っていくのは避けられないわけで、これからの人生で一番若いのは今日なわけです。「今日できることが明日はできなくなっている可能性」はどんどん高まっている。とっとと体を動かさないと。今でしょ!

昨年はパタゴニアに行き、ペリト・モレノ氷河の上を歩く「氷河トレッキング」を体験してきたのですが、私が参加した "Mini trekking" は 65 歳、長距離の "Big Ice" は 50 歳までという年齢制限があります。50 歳なんてあっという間です!

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ただ、漠然と「体を動かそう」と思ってもなかなか体は動かないので、まずは 8 週間のヨガコースに申し込んでみることに。お金を払っちゃえば、あとはもうやるっきゃない。

小中学生の頃は器械体操やフィギュアスケートをやっていたので体は柔らかかったはずが、年を取るとすっかり固くなっている。ですが、練習しているうちに徐々に慣れて、最初は取れなかったポーズも取れるようになりました :D

その後、フルマラソンも走っている本間さんとランチしたりチャットしたりしているうちになんだか触発されて、SF マラソンの 5k に申し込むことに。参加費を払っちゃえば、あとはもうやるっきゃない。

今までの人生でマラソンとかなるべく避けて生きてきたこの私がなんとこの年になってマラソンw

「5k なら短いし大丈夫!」とよく言われるのですが、残念ながら溜まった運動不足はいかんともしがたく、練習を始めてみたら腰が痛くなった。。。一回休み。膝が痛くなった。。。一回休み。足首が痛くなった。。。一週間休み。という具合で体のあちこちが痛みます。たかが 5 キロ、されど 5 キロ。ですが、練習しているうちに徐々に慣れて、どこも痛くなくなりました :D

そして迎えた当日の朝。

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5k のスタートライン。

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いざ走り始めてみたら、スタート地点近辺は人が多いのでダンゴ状態だし、たくさんの人が走らずに歩いていて追い越すこともできず、先頭の方で走り始めないとそもそも走れない、ということが判明。。。

次に走るときがあったらちゃんとタイムを報告して、もっと前でスタートしようと思いました。

レースが進み、道が広くなっていくにつれて人もバラけ、徐々にまともに走れるようになりました。

無事完走!

なかば強引に 5k にひきずりこんだ同僚の Masaru さんと、フルマラソンを終えた本間さんも合流してビールで乾杯。

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今年はサンフランシスコマラソンが 40 周年記念だったので、メダルにも大きな "40" の文字。良い記念になりました :D

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Steve Jobs の最後の言葉を噛み締めつつ、健康に生きようと思います。



人を雇って運転してもらうことも、お金を稼いでもらうこともできる。でも、 あなたの代わりに病気になってくれる人を見つけることはできない。 
物質的な物はなくなっても見つけることができるけど、なくなってしまったら二度と見つけられない物がある。 それは命だ。 
病人が手術室に入る時、まだ読み終えていない本が1冊あったことに気付くんだ。 それは「健康な生活の本」 。
今、人生がどのステージにあったとしても、誰もが必ず人生の幕を閉じる日を迎える。 家族への愛、パートナーへの愛、友人への愛を大切にしてください。 
自分自身を大切に。 みんなを大切に。


そういえば昔デジタルガレージで働いていた時、上司の Joi が vegan になったのですが、ある日会社に行くと私の机の上に "Fumi be healthy -Joi" と書かれたポストイットと、vegan のクッキングブックが置いてあったのを思い出しました。健康に生きよう。肉と魚をやめられる気はしないけど、お野菜多めに。

。。。サンフランシスコマラソンが終わってから気が抜けてすっかり走るのを辞めてしまっていたのを反省し、今頃ブログを書いてみました。


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